本年度は、足部の模擬模型を用いた足部多剛体モデルの計測精度の検証実験と、健常成人のドロップジャンプ動作における足部運動力学解析を行った。既存の足部多剛体モデルでは、運動学的解析を中心に行われてきていたため、運動力学解析に応用しやすいように、足部を新たに3つのセグメントに定義した。足部模擬模型を用いて、全平面上-90度から90度の範囲の運動について計測精度を検証した。また、健常成人20名 (男女各10名) に本モデルを適用してカーフレイズ、歩行、ドロップジャンプ動作の計測を行った。結果、運動学データは概ね妥当なデータであり、生体に適応した場合でも一般的な運動パターンを示した。これらのデータは既存の足部モデルと同程度あるいは良好な計測精度を有していた。本結果は国内の学会で発表済みであり、また国際誌Sensorsに受理されている。健常成人のドロップジャンプ動作における足部運動力学解析については、運動力学解析に特化した足部モデルを作成することが実現した。健常成人に適応し、歩行やドロップジャンプ動作を計測した。その結果は国際会議にて発表済みである。当初の予定では、健常成人だけでなく、高齢者にも作成した足部モデルを適応する予定だった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響もあり、所属機関の協力が得られなかったため、高齢者における動作計測についてはできなかった。しかし新たな足部モデル作成という研究の基盤は実現できた。
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