特別研究員1年度では、ボクセル数値人体モデルをもちいた接触電流密度解析において、異材境界に現れる電界強度の過大評価を緩和させるため、マーチングキューブ法に基づくメッシュスムージング機能の開発を行い、簡単な球体モデルを用いて精度評価を行った。解析結果より、電界強度の過大評価を緩和させることができていることを確認したが、スムージングする箇所においては、電界強度緩和の度合が小さいことが分かったため、さらにマーチングキューブ法によるメッシュスムージングの上から、ラプラシアスムージングによるメッシュスムージングを適用する2段階スムージング機能の開発を行った。開発した2段階スムージング機能を球体モデルに適用し、精度評価を行った結果、1段階スムージング(マーチングキューブ法)よりも、電界強度の過大評価を緩和させることができた。次に、数値人体モデルの一部に2段階スムージングを適用し、開発した混合要素メッシュに特化した幾何マルチグリッド法と前処理付きCG法(ILUCG)を用いて、細分化モデルごとの収束性、計算時間の観点で性能評価を行った。結果的に、開発した幾何マルチグリッド法を用いることで、前処理付きCG法よりも、良い収束性、計算時間で解析を行うことができた。しかしながら、2段階スムージング機能を適用したモデルについては細分化したモデルでは一部解けない問題があることが分かった。最後に数値人体モデル全体の数値解析を行った。結果、2段階スムージングモデルは解くことができなかったが、1段階スムージングモデルでは解くことができた。特に、幾何マルチグリッド法を用いることで、ボクセルモデルでは解けなかった幾何マルチグリッド法が、メッシュスムージングを用いることで解くことができ前処理付きCG法よりも高速な計算時間で、かつメッシュスムージングが線形代数ソルバでいう前処理のような役割を果たすことがわかった。
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