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2020 年度 実績報告書

大規模N体計算を用いた惑星リングと衛星系の起源と進化の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J15020
研究機関京都大学

研究代表者

石澤 祐弥  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワード衛星形成 / 惑星リング / 巨大天体衝突 / 天王星衛星形成 / N体計算 / リング形成
研究実績の概要

本研究課題では、大規模N体計算およびパラメータスタディを行う事で、惑星周りのリングと衛星系の力学的進化過程を個別またはグローバルに検証する事で現在の太陽系内の惑星が持つリング・衛星がどのように形成されるか、またどのような進化を辿るかを明らかにすることを目的としている。
今年度はまず天王星のリングと衛星の相互作用およびリングの起源の検証に向けて、衛星分布とその岩石/氷含有比のパラメータ範囲を制限するために、天王星の衛星形成過程のモデルの一つである、巨大天体衝突により生じた周惑星円盤から衛星形成されるという過程に着目した。巨大衝突後の高温な蒸気円盤から衛星形成の場である固体のデブリ円盤が形成されるまでの過程を一次元粘性拡散方程式とシングルサイズモデルを用いた粒子の成長仮定を数値的に検証するコードの開発を行った。そのコード開発において、氷と岩石の粒子が凝縮・昇華・衝突合体しながら成長し、ガスとの相互作用で移流・拡散する効果が含まれており、2粒子の合体・移流・拡散をシングルサイズモデルで記述することに成功した。
上記の計算コードから、氷惑星への巨大衝突の結果形成されたデブリ円盤の面密度分布、氷と岩石の存在比を計算できるため、その分布を元にN体計算を用いて衛星集積過程を計算することでどのような衛星の質量・軌道半径分布が最終的に形成されるか、どのような内部密度を持つか、また惑星の潮汐力による軌道進化を考慮した小衛星破壊によるリング形成への示唆を議論することができ、惑星のリング・衛星系の起源と長期的な相互作用を経た進化過程について明らかにしつつある。
またすでに開発していたN体計算コードを用いて、高速自転する三軸不等楕円体であるハウメア周りで小天体が潮汐力により破壊されリングがどのように形成されるかを検証し、その成果をSumida et al. (2020)にて報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本課題における、土星や天王星のリングと衛星の相互作用をN体計算により検証するためには、まず衛星がどのような過程でどのようなプロファイル(質量分布や内部密度分布)を持って形成されるかが大きく影響するため、衛星形成の場であるデブリ円盤の初期条件がどのようなプロファイルになるか調査する必要性が生じたためである。この調査はパラメータスタディの範囲の制限にも有用であり、リングの組成やその後の衛星の軌道進化においても重要な制限が与えられる可能性があるため必要な追加調査であった。また2020年度は新型コロナウィルスの影響によりスムーズな研究活動に支障が生じた。

今後の研究の推進方策

今年度に開発した蒸気円盤中での粒子成長進化コードの計算結果を初期条件としてN体計算を行い、衛星形成過程を検証する。衛星同士の相互作用、惑星潮汐力による衛星の軌道進化、リングとの相互作用を長期的に計算するN体計算コードの開発も行い、その過程を検証する。またリングからの衛星形成モデルを解析的に導入し、岩石と氷の含有比に着目しながら、衛星とリングの形成から現在に至るまでの一連の進化過程を検証することで、土星・天王星・海王星の衛星とリングの起源に制限を与えることを目指す。
リングの構造・組成、衛星の質量分布・組成を含んで集積や長期の軌道進化過程を記述するためには大規模な数値計算が必要となるため、大量の CPU・GPU を搭載した計算機、東京工業大学のスーパーコンピュータTSUBAMEなどを利用して並列計算による計算の大幅な高速化を図る。また同時に進化段階にあわせたN体計算の簡略化を行う。
デブリ円盤の各物理パラメータと、最終的に形成されたリング・衛星系の質量、氷・岩石比、軌道半径、個数との相関をパラメータスタディによって定量的に評価し、多様なリング-衛星系がどのように作り分けされたか、またどれくらいの割合で存在するかを体系的に議論することを目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] N-body Simulations of the Ring Formation Process around the Dwarf Planet Haumea2020

    • 著者名/発表者名
      Sumida Iori、Ishizawa Yuya、Hosono Natsuki、Sasaki Takanori
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 897 ページ: 21~21

    • DOI

      10.3847/1538-4357/ab93bb

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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