本研究では,色覚障がいを支援するための色変換技術を開発すると同時に,色覚障がい者の色覚範囲を計測する技術も併せて提案する. 準備期間及び採用1年目では,一種類の錐体細胞の機能が完全に失われる二色覚を支援することを目的として,補償用色変換技術を開発し,実際の二色覚者による評価実験において,提案手法は既存の二色覚補償方法のいずれよりも優れた補償効果があることが示されたが,画像1枚を作成するには1分以上掛かり,日常生活での利用には耐えられない. 採用2年目(今年度・最終年度)では,色変換技術の高速化に関する研究に取り組み,日常生活での利用に耐えられる高速色変換技術を提案した.提案技術は自然さを保つコントラスト補償を三次元色空間から二色覚色域への最適線形投影として定式化し,高速アルゴリズムの開発にも成功し,その成果をまとめた論文が国際学会CAD/Graphics(採択論文はCG分野のトップ5の国際学術誌の一つであるComputer & Graphic誌(IF: 1.936)に掲載される)に採択され,口頭発表を行った. さらに,既存の色覚補償用色変換技術およびその評価尺度を網羅的に調査し,独自の観点で分類し,利用の指針を示したサーベイ論文がCG分野のトップ5の国際学術誌の一つであるThe Visual Computer誌(IF: 2.601)に採択された. また,提案した色覚障がいの大多数を占める異常三色覚の補償ができる個人適応型色変換技術及びその評価実験をまとめた論文が国内のCG分野のトップ学会Visual Computing シンポジウムに採択され,招待講演を行った.
|