本研究の調査結果については、「タンザニア・ウングジャ島における人とザンジバルアカコロブスの関係の動態」という題名で博士論文にまとめ、2022年12月に所属学科に提出し、2023年7月に博士号取得を予定している。 博士論文は、タンザニア、ウングジャ島において人が作り上げた森林景観を利用するザンジバルアカコロブス(以下、コロブス)と、そこに暮らす人々の関係性が、国立公園設置の影響でどのように変化したかを明らかにすることを目的とした。地域住民へのアンケート調査や、コロブスの行動調査の結果をもとに、国立公園設置が地域社会や人と野生動物の関係にもたらした変化を記述した。地域の重要な観光資源となっているコロブスの「炭食い行動」がコロブスと森と人の絶妙なバランスで成り立っていることを指摘したうえで、地域社会における野生動物保全のあり方について議論を行った。
なお博士論文を一部編集したものを、書籍「生態人類学は挑む Session4 つくる・つかう」の第2章として、「人とザンジバルアカコロブスの関係を考える-国立公園の設置をめぐって」という題名で、2023年4月に京都大学学術出版会から出版した。
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