研究課題/領域番号 |
20J15659
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
儀武 菜美子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | PHB |
研究実績の概要 |
ポリイソプレンを主成分とする天然ゴムならびに合成ゴムは、広範な分野で利用される不可欠な資源である。そして将来的に増大すると考えられる廃棄ゴムの大半は焼却や埋立てにより処理されており、温室効果ガスの増加や環境負荷が懸念されている。持続可能な社会を構築するためには、廃棄ゴムの処理プロセスの革新は地球規模で早急に取り組むべき課題と言える。 天然ゴム分解菌Rhizobacter gummiphilus NS21株は、細胞外でポリイソプレンをイソプレンオリゴマーへと低分子化して細胞内に取り込むことで代謝する。また、イソプレン代謝時のNS21株細胞を電子顕微鏡観察した結果、細胞内にバイオプラスチックの一種であるポリヒドロキシアルカノエート (PHA)を蓄積していることが判明した。そこで本株を利用することにより、ゴムからのバイオプラスチック生産技術の構築が可能であると考えた。ゴム分解時に効率的にバイオプラスチックを生産・蓄積する変異株の作出を目指して、NS21株のPHA物質の同定と、PHA分解遺伝子の破壊を行った。NS21株のゲノム中に、ポリヒドロキシ酪酸 (PHB)合成遺伝子の存在を確認し、天然ゴム培養時に蓄積したポリエステルをガスクロマトグラフィーで解析した結果、NS21株がPHB合成能を有することが明らかとなった。また、既存のPHB分解遺伝子と相同性が見られる遺伝子を同定し、相同組換え法による遺伝子破壊株の作製を行なった。破壊によるPHB蓄積能の向上が予想されるため、今後は遺伝子破壊株の評価を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、①PHB分解遺伝子の破壊、 ②3HHx-CoA合成遺伝子発現系の構築し、PHBH生合成株の構築と効率化を目指している。これまでに項目①については達成している。具体的には、NS21株のゲノム中から、既知のPHB分解遺伝子と相同性を有する2つの遺伝子を同定した。これら遺伝子をphaZ1, phaZ2と名付け、相同組換え法によるphaZ1破壊株、phaZ2破壊株、phaZ1, phaZ2二重破壊株の作製を行った。
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今後の研究の推進方策 |
作製したphaZ破壊株を用いて、天然ゴム培養時のPHB蓄積能をガスクロマトグラフィーで評価し、比較する。また、PHB合成系に3-ヒドロキシヘキサン酸-CoA (3HHx-CoA)合成酵素を組み込むことで、PHBよりも物性が良く実用的なポリ3HHx-co-3HB (PHBH)の生産ができると考えている。そこで、PHB蓄積が一番向上したphaZ遺伝子破壊株を宿主として、Aeromonas caviae FA440株の3HHx-CoA合成遺伝子を導入する。そして同遺伝子をゴム誘導性のプロモーターで発現させることにより、ゴム分解とPHBH生合成を同時に行える高効率な変換系を構築する。
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