研究課題
当初の計画では、高温・高応力下での岩石供試体の水圧破砕実験を実施する予定であったが、前年度の時点で十分な実験データを得られていたため、論文執筆・投稿に注力した。結果、超高温地熱環境下での形成される特徴的なき裂パターンが形成されるプロセスを、実験データに基づき考察し、国際学会誌上で発表することができた。超高温地熱環境下における水圧破砕発生の条件式とき裂ネットワークの形成プロセスについて基礎的な知見を得た。これらの成果は上述の論文投稿のみならず、日本地熱学会学術講演会をはじめとした、国内学会においても発表、報告を行った。また、2020年度においては、上述した論文投稿と平行して、ボアホールを有する岩石供試体の応力状態を操作することで、ボアホール壁面の破壊現象を発生させる実験を実施した。この実験は、超臨界地熱発電の実現を見据えた場合考慮しておく必要があると考えられる、超臨界地熱環境下におけるボアホールの安定性の基礎的知見獲得を狙いとしている。この実験の結果、高温下では、岩石の強度低下などに起因して、在来の環境とは破壊挙動あるいは破壊条件が異なることが示唆された。同時に、この実験結果は共同研究として実施している、高温延性地殻における岩石の破壊・変形挙動の予測モデルの拡充に役立てる計画である。また、この実験後の供試体の観察手法として薄片資料の作成、観察システムを確立した。本実験の成果については、2021年度中の論文投稿を予定している。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究課題実施にあたり、延性地殻の環境条件を模擬した高温・高圧条件の実験装置を考案および調整し、順調に稼働している。これまでに、岩石試料を用いた超臨界条件の再現をはじめ、水圧破砕による微小亀裂の進展やその制御に関する多くの実験データを取得している。また、実験データに基づいて超臨界状態での水理特性の解析を進め、き裂ネットワークの形成プロセス等に関する多くの知見を得ている。また、2020年度においては顕微鏡を用いたき裂形態観察手法を確立しており、来年度以降研究が一層進行することが期待できる。
2020年度においては水圧破砕実験に関する論文投稿と平行して、超臨界地熱発電の実現を見据えた場合考慮しておく必要があると考えられる、超臨界地熱環境下におけるボアホールの安定性の基礎的知見獲得を目的として、ボアホールを有する岩石供試体の応力状態を操作することで、ボアホール壁面の破壊現象を発生させる実験を実施した。この実験の結果、高温下では、岩石の強度低下などに起因して、在来の環境とは破壊挙動あるいは破壊条件が異なることが示唆された。本実験の成果については、2021年度中の論文投稿を予定している。2021年度は、地熱抽出(冷却)に起因する貯留層温度分布の変化による、岩石の破壊あるいはき裂ネットワークの水理特性の変化を明らかにすることを目的とした透水実験の実施を予定している。あわせて高粘度の溶融樹脂を用いた破砕実験を行うことで、先述の論文で提案したき裂形成メカニズムのシミュレーション手法を確立するためのデータ獲得を目指す。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Rock Mechanics and Rock Engineering
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10.1007/s00603-021-02416-z