研究課題
本研究ではこれまでに、「サナギタケ由来レクチンが宿主への感染から子実体形成の分子メカニズムに関与しているのではないか?」という仮説のもと、サナギタケ子実体から、カイコ蛹粗抽出物と結合活性をもつレクチンの精製を行った。その結果、R型レクチンと相同性を持つ新規サナギタケ由来レクチン(CmLec4)の精製および遺伝子クローニングに成功した。また、酵母を宿主とした異種発現系も構築し、本タンパク質を接種したカイコ蛹は羽化が有意に遅くなった。CmLec4の、カイコ蛹中の標的タンパク質が性特異的貯蔵タンパク質であることを明らかにし、カイコ蛹への分化に関与することが示唆された。また、cmlec4遺伝子破壊株の作出にも成功し、遺伝子破壊株では野生株と比較して有意に子実体形成が低下したことから、自身の子実体形成にも関与することを明らかにした。本研究成果は、今年度国際学術雑誌International Journal of Biological Macromoleculesに投稿・受理された。また同時に、2022年9月に行われた日本きのこ学会第25回大会にて口頭発表を行い、学生優秀発表賞を受賞した。現在は、サナギタケのゲノム上に存在するその他のレクチン1種(CmRlecと命名)の大腸菌を用いた異種発現と生化学的諸性質の決定に成功し、CmRlecもCmLec4と同様、キチンオリゴ糖を認識するレクチンであることを見出した。また、サナギタケとは宿主範囲の異なるBeauveria bassianaのゲノム上からCmLec4に対応する遺伝子をマイニングし、これらレクチン遺伝子の異種発現にも試みた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
International Journal of Biological Macromolecules
巻: 215 ページ: 303-311
10.1016/j.ijbiomac.2022.06.106
昆虫と自然
巻: 57 ページ: 37-40