研究課題/領域番号 |
20J20406
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
栗川 治 立命館大学, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | 障害のある教員 / 当事者団体 / 社会運動史 / 権利保障 |
研究実績の概要 |
本研究の主題は「障害のある教員の当事者運動史の研究――1970年代以降の日本の当事者団体を中心に」である。 2021年度は、その前史に当たる戦前期の障害教員による社会運動、とくに盲学校教員による点字図書館運動について調べ、学会誌論文、各種研究会報告をおこない、それらの研究成果が新聞等でも取り上げられて報道された。 「点字図書館運動勃興期における『姉崎文庫』の設立と郵送貸出による事業展開──柏崎の姉崎惣十郎と新潟県盲人協会による情報保障の実践の歴史的意義」,社会事業史学会『社会事業史研究』第62号(掲載決定).「柏崎発祥の現存日本最古の点字図書館と姉崎惣十郎──中越盲唖学校と『姉崎文庫』・新潟県盲人協会点字図書館をめぐって」,柏崎文化協会『市民文化誌「風のいろ」』第15号,pp45-50.「柏崎発祥 日本最古の点字図書館『姉崎文庫』の歴史語る 視覚障害の栗川治さん」,柏崎日報,2021年10月21日.「100年前に点字図書館 姉崎文庫の功績知って 柏崎でアイフェスタ」,新潟日報,2021年10月20日. また、障害教員を含む障害者雇用の歴史について調査を進め、その雇用実態(統計)と雇用制度(政策)を明らかにし、学会発表や各種研究会での報告等をおこなった。 「低迷する障害教員の雇用の実態と経過」,障害学会第18回大会報告(オンライン),2021年9月25日.「障害教員運動史──教育現場からの排除をめぐる闘争の歴史を探る」『研究の現場』立命館大学生存学研究所2021年8月.「障害者の当事者運動史の研究──教員・労働・情報保障」,放送大学人文研究友の会2021年度後期全体会,オンライン,2022年3月26日.「障害のある教職員の雇用・就労を求める運動の歴史──私の体験と研究から」,障害のある教職員ネットワーク全国集会,オンライン,2021年11月23日.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、順調に研究を進めることができた。但し、コロナ禍の影響で一部のインタビュー調査が延期やオンライン実施となった。 障害教員運動史の前史としての戦前の盲学校教員による視覚障害者の権利保障、情報保障を求める運動としての点字図書館運動の地方における実践について調査を進め、多くの新資料の発見を含む調査結果を、社会事業史学会の論文等にまとめることができた。 また、障害教員をはじめとする障害者雇用の歴史について、その統計的推移や制度の変遷について、資料探索や、旧労働省職員等へのインタビュー調査を進め、これまで不明であった事実を明らかにして、障害学会での発表、学会誌への論文投稿等をおこなった。 その他、障害者雇用の理論的、実践的課題に関して、「障害者と労働」研究会において研究者相互の議論を進め、論文等にまとめつつある。
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今後の研究の推進方策 |
まず、文献の検索・収集を、研究協力員や図書館調査員の助力を得ながら進める。併せて、事前にアポイントを取った方々に面接調査をおこなう。 そして、障害学会等でここまでの研究成果の報告、とくに1970年代の教員への障害者採用を求める運動や、中途障害者の継続雇用、復職を求める運動に関する研究報告をおこない、研究者等から助言を得つつ、障害学会誌『障害学研究』に投稿する論文執筆をおこなう。その他、既に調査、草稿執筆を終えている2つの原稿(「軽減労働同一賃金」の理論的考究、障害教員の雇用制度と統計の推移)を論文にまとめ直し、査読付き学術雑誌に投稿する。 そのうえで、これまでの研究成果(論文・学会報告等)を統合、増補、修正したうえで再構成し、本研究主題「障害のある教員の当事者運動史の研究――1970年代以降の日本の当事者団体を中心に」を完成させ、博士学位請求論文として提出する。
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