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2020 年度 実績報告書

太平洋側北極海における海底堆積物中の珪藻類休眠期細胞に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20J20410
研究機関北海道大学

研究代表者

深井 悠里  北海道大学, 環境科学院, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワード北極海 / 植物プランクトン / 珪藻類休眠期細胞
研究実績の概要

太平洋側北極海における海氷変動といった環境変化に対する珪藻類群集への影響を明らかにすると共に、珪藻類休眠期細胞の機能について知見を深めることを目指し、本年度は特に、(1)堆積物中における休眠期細胞群集分布と海氷動態との関係を明らかにする、(2)堆積物試料を用いて室内培養実験を行い、珪藻類休眠期細胞の発芽が水柱の基礎生産へ与える影響を明らかにする、(3)秋季の太平洋側北極海の水柱における珪藻類休眠期細胞の分布を明らかにする、ことをテーマとして研究に取り組んだ。
(1)では、堆積物中における珪藻類の休眠期細胞群集の分布要因について、衛星から得た海氷密接度や基礎生産量のデータと合わせて解析を行った。本解析により、当該海域の珪藻類休眠期細胞群集の分布は、海氷存在と日長の関係や、海氷の後退時期に左右されることが明らかとなった。本研究の結果を国際学術雑誌へ投稿した。
(2)に関して、海洋地球研究船「みらい」の北極航海の期間中、太平洋側北極海の陸棚域において堆積物試料の採取を行った。その後、陸上の実験室において堆積物試料を用いた室内培養実験の予備実験を行った。
(3)に関して、上述の北極航海において海水試料の採集を行った。採集した項目は、植物プランクトン色素、珪藻類(顕微鏡観察用)、DNA、RNAであり、船上では、クロロフィル可変蛍光光度計を用いて、現場の植物プランクトン群集の光合成活性も測定した。色素試料は超高速液体クロマトグラフ(UHPLC)を用いて分析し、顕微鏡観察は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行った。色素の分析結果からは、秋季の太平洋側北極海の水柱ではクロロフィルa濃度が相対的に低かったが、珪藻類が植物プランクトン群集の主要な構成グループであったことが示唆された。また、SEMでの観察結果からは、珪藻類の群集内では休眠期細胞の割合が比較的高い可能性が明らかになりつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画で予定していた通り、JAMSTEC海洋地球研究船「みらい」で行われた北極航海へ参加し、太平洋北極海の堆積物および海水試料を十分採取した。また、この航海で採取した堆積物を用いて室内培養実験へ向けた予備実験を行うと共に、海水試料の分析等を計画的に進めた。さらに、太平洋側北極海陸棚域における珪藻類休眠期細胞群集について、衛星データを用いて分布要因の解明に努めた。この研究結果を国際学術雑誌へ投稿した。これらの進捗状況より、本研究はほぼ計画通りに遂行されており、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

本年度の北極航海(JAMSTEC海洋地球研究船「みらい」、航海番号MR20-05C)で得た堆積物を用いて、室内培養実験を行い、(1)珪藻類休眠期細胞の発芽が基礎生産に与える影響を評価する、(2)環境変化が著しい北極における珪藻類休眠期細胞の生残について評価する、ことで珪藻類休眠期細胞の海洋における役割と海洋環境変化に対する応答を明らかにすることを目指す。また、同航海において採集した海水サンプルについては、SEMでの珪藻類の観察を進めると共に、光合成炭素固定酵素RubisCOの大サブユニットをコードするrbcL遺伝子等を標的としたDNAとRNAの分析を行い、珪藻類の群集組成と炭素固定活性を評価する。これらと過去の知見を合わせることで、休眠期細胞を含む珪藻類群集の動態を総合的に解析する予定である。加えて、得られた成果を国際会議や国内学会で発表する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Between-year comparison of interactions between environmental parameters and various plankton stocks in the northern Bering Sea during the summers of 2017 and 20182021

    • 著者名/発表者名
      Yamaguchi Atsushi、Kimura Fumihiko、Fukai Yuri、Abe Yoshiyuki、Matsuno Kohei、Ooki Atsushi、Hirawake Toru
    • 雑誌名

      Polar Science

      巻: 27 ページ: 100555~100555

    • DOI

      10.1016/j.polar.2020.100555

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spatial changes in the summer diatom community of the northern Bering Sea in 2017 and 20182020

    • 著者名/発表者名
      Fukai Yuri、Abe Yoshiyuki、Matsuno Kohei、Yamaguchi Atsushi
    • 雑誌名

      Deep Sea Research Part II: Topical Studies in Oceanography

      巻: 181-182 ページ: 104903~104903

    • DOI

      10.1016/j.dsr2.2020.104903

    • 査読あり
  • [学会発表] Response of lower trophic organisms to recent environmental changes in the Arctic2020

    • 著者名/発表者名
      Amane Fujiwara, Shigeto Nishino, Takuhei Shiozaki, Koji Sugie, Hisatomo Waga, Yoshiyuki Abe, Koki, Tokuhiro, Yuri Fukai, Kohei Matsuno, Atsushi Yamaguchi, Toru Hirawake, Naomi Harada, and Takashi Kikuchi
    • 学会等名
      The 11th Symposium on Polar Science
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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