研究課題
物体(犬)の探索を音声(鳴き声)が促進するように,刺激間の意味概念の一致が視覚情報の分析を向上させる効果は,課題非関連情報が無視されるような目標指向的な特徴を持つ(Iordanescu et al., 2010; 2011)。しかし,Iordanescu et al.の探索標的は具体的定義が可能(名詞)であり,音声との1対1の対応関係が形成しやすく,短期的な学習の影響等,状況依存的である可能性がある。本研究では物体-音の対応付けに時間を要する動作静止画の定位に関して音の促進/干渉効果を検討した。20種類の動作関連音と,20枚の同じ静止画を反復使用(実験1-3)または反復を避け320枚を使用(実験4-6)した。試行の始めに標的動詞名が視覚呈示され,その後の探索画面の中から標的を定位し,位置の回答を求めた。探索画面出現と同時に標的一致音,妨害刺激一致音,または統制音が呈示された。統制音として,20種類の動作関連音から選択された,探索画面の画像とは非関連の動作音(非関連音),白色雑音,または無音が実験間で使用された。静止画を反復させた場合(実験1)で,統制(非関連音)条件と比べた妨害刺激一致音条件における反応時間は変わらなかったが,実験間で一貫して,音声による定位促進および干渉の両方が示された。この干渉効果の低減は探索の目標指向性に帰属するのではなく,非関連音が既出の20種類の音声から選択されていた事で,統制条件で干渉(反応時間遅延)が生じた可能性を反映している。どの条件も妨害刺激に対する誤選択反応が増加したため,妨害音による自動的な干渉を支持した。また,これらの効果は長期的な経験に基づくといえる。すなわち,Iordanescu et al. (2010)では標的に対する事前知識が,強い目標指向性を喚起し,干渉効果を弱めていた事が考えられる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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