研究課題/領域番号 |
20J20633
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 依央菜 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | 系外惑星 / 重力マイクロレンズ / 赤外線 |
研究実績の概要 |
本研究では、マイクロレンズ法を用いて系外惑星探査を行い、惑星発見数を増やすことで惑星系の全体像を解明することを目的とする。さらにマイクロレンズ法で発見された惑星を用いて、主星質量ごとに惑星の質量比分布を求め、その主星質量依存性を解明する。さらに、主星質量ごとの惑星質量分布を求めることによって、惑星形成論に制限を与える。 現在までに発見されている太陽系外惑星は5000個ほどあるが、マイクロレンズ法で発見されている惑星の数は約130個と少ない。そこで惑星のサンプルを増やすために、ニュージーランドのMt. John天文台にあるMOA-II望遠鏡を用いて惑星探査を行った。今年度は、新型コロナウイルスによる影響でNZに渡航できなかったが、リモート観測に必要なパイプラインの整備を行い6月に1週間ほど大阪大学からのリモート観測を行った。その際に、5つの惑星候補イベントに対して観測データ取得に貢献した。 また、惑星候補の重力マイクロレンズイベントOGLE-2018-BLG-1185の詳細解析を行った。このイベントは地上望遠鏡と宇宙望遠鏡からの同時撮像を行なったイベントであるため、両方のデータを組み合わせることで、スペースパララックス効果が検出され、レンズ系の物理量に強い制限が与えられる可能性がある。2020年度に行った地上望遠鏡によるデータのみを使用した光度曲線に対するフィッティングに加えて、2021年度は宇宙望遠鏡から撮像されたデータも含めての解析を行った。その結果、レンズ系が0.09太陽質量程度の非常に低質量のM型星とそれに付随する2.1地球質量程度のスーパーアースであることを導いた。このような低質量星まわりの惑星でスペースパララックスによる質量測定が行われたのは本イベントが2例目である。この結果を投稿論文にまとめ、2021年8月にAstronomical Journalに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では上記のOGLE-2018-BLG-1185の解析は2020年度内に論文を出す予定だった。しかし、スペースパララックス効果を含めた場合と含めない場合に惑星系の質量や惑星系までの距離が大きく異なることを発見した。先行研究でSpitzer宇宙望遠鏡の測光における系統誤差が示唆されているため、本研究の結果はこの先行研究を支持する結果か、解析途中に使用した銀河モデルにおける仮定に問題があるのか等の検討を詳細に行う必要があったため、当初の予定より時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
惑星のサンプル数を増やすために、今後もMOA-II望遠鏡を用いたマイクロレンズ観測と惑星候補の詳細解析を引き続き行う予定である。また、現在建設中のPRIME望遠鏡のマイクロレンズ観測をシミュレーションし、発見できる惑星の数を最大にできるような観測戦略の検討を行う。
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