研究実績の概要 |
本研究では,機械学習の解釈可能性を実現するために,予測精度の向上以外を目的とした非標準的な機械学習問題の新たな定式化に取り組む.このような機械学習問題に対して,整数計画法をはじめとする離散最適化手法に基づく効率良いアルゴリズムを開発することを目標としている. 当該年度では,前年度に引き続き,局所的な説明手法の一つである「反実仮想説明法(Counterfactual Explanation, CE)」に着目して研究を行った.CEは,機械学習モデルから望ましい予測結果を得るための特徴量の変更方法(アクション)を提示する説明手法である.当該年度では,これまでの研究成果を統合あるいは拡張することで,より実用的なCEの新しいフレームワークの開発に取り組んだ. 主な研究成果として,抽出されるアクションを入力空間全体について大域的に要約するCEの新しいフレームワークを開発した.具体的には,解釈可能な機械学習モデルの一つである決定木に着目し,決定木を用いて適切なアクションを予測する「反実仮想説明木(Counterfactual Explanation Tree, CET)」を新たに導入した.また,実用上高速な離散最適化手法である確率的局所探索に整数計画法を組合せることで,CETを学習する効率良いアルゴリズムを提案した.この成果をまとめた論文は,機械学習分野の最難関会議の一つである国際会議AISTATS2022に採択(採択率 29.2%)された. CE以外の成果としては,解釈可能な機械学習分野で近年重要視されているRashomon効果の分析方法の研究に取り組み,共著論文が機械学習分野の国際会議MLDM2022に採択(採択率 33%)された. 最後に,これまでに行った整数計画法に基づく解釈可能な機械学習に関する研究成果をまとめ,学位論文(博士)を執筆し,在学期間を短縮して博士の学位を取得した.
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