本宮山地域で昨年度までに得られた接触変成帯の熱構造と深成岩の噴火履歴の関係についての成果をまとめ、論文として投稿する準備を進めたのち、それを国際誌に投稿中である。また、白亜紀から古第三紀にかけての日本列島における珪長質火成活動の年代や化学組成を文献調査によりコンパイルした。データは200篇以上の文献から1500地点以上の情報を収集し、データベース化した。構築したデータセットからは、過去の東アジア大陸火山弧の分布およびその移動の履歴が推定された。また、全岩の微量元素濃度データセットからは、沈み込むスラブの部分溶融との強い関連が示唆されるアダカイトマグマが特定のステージに集中して形成されていることが明らかとなった。これらのデータをベースとして、変成岩や付加体研究から得られている地質学的制約を加えることで、西南日本と東北日本の火成活動を包括的に説明可能なテクトニックモデルを検討した。その結果、前期白亜紀にイザナギプレートが沈み込みを開始するとともに、その後新生代初頭に海溝と並行にイザナギ-太平洋海嶺の沈み込みが発生するとともに、西南日本内帯が水平方向に時計回り回転した可能性が高いことが明らかとなった。本年度では、以上の成果をまとめて複数の国内学会で発表するとともに、国際誌に投稿する準備を進めている。また、以上の内容についてを博士論文としてまとめ、東京大学理学系研究科に提出し、博士号を取得した。
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