研究課題/領域番号 |
20J20892
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松井 公宏 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1) (40968385)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | CKD / FGF21 / うつ病 / 腎臓リハビリテーション / 身体活動 |
研究実績の概要 |
近年,世界的に増加しているCKD患者では,うつ病の発症率が高く,加えて,血中FGF21濃度も顕著に上昇することが示されている.これらのことは,CKD患者におけるうつ病の発症にFGF21が関与することを示唆している.一方で,高齢者における定期的な運動は,血中FGF21濃度を低下させることが示唆されている.したがって,CKD患者における定期的な運動は,血中FGF21濃度の低下を介して抑うつ症状を改善する可能性がある.これらのことから,本研究では,CKD患者における定期的な運動の抑うつ改善効果およびその機序に血中FGF21濃度が関与するかを明らかにすることを目的とした. 本年度の研究では,まず地域在住の中高齢者を対象に中高強度身体活動(≧3.0 METs)の時間を増加させる8週間の介入が血中FGF21濃度および抑うつ症状に及ぼす影響を予備的に検討した.その結果,介入群では中高強度身体活動時間が1日当たり20分間程度増加した.さらに,Beck Depression Inventory - Second Edition(BDI-Ⅱ)で評価した抑うつ症状は介入の前後で有意に改善した.しかし,血中FGF21濃度は介入の前後で有意な変化を示さず,血中FGF21濃度と抑うつ症状の変化量に関連性は認められなかった.今回の介入研究から,介入により中高強度の身体活動時間が増加し,抑うつ症状が改善するといった結果を得ることができた.今後はこれらの結果について追加解析および論文化を進めるとともに,CKD患者を対象とした介入研究の準備を進める予定である. また,本年度は縦断的観察研究のデータ測定を行い,2年間のフォローアップデータを取得した.今後,身体活動量,血中FGF21濃度,抑うつ症状の関連性についてデータ解析および論文化を進める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度も新型コロナウイルスの影響を受けたが,縦断研究に関連する測定と予備的な介入研究を実施することができた.現在はこれらの結果をまとめている段階である.これらのことから,本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2年間で研究計画における多くのデータを取得することができた.今後はデータ測定に並行して,得られたデータを学術集会および学術誌において積極的に公表していく.また,新型コロナウイルスの感染状況が流動的であることから,測定期間を延長するなど臨機応変に対応し,予定している測定が完了するように努める.
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