研究実績の概要 |
本年度は、本研究課題の総まとめとして、研究結果のアウトプットを中心に進展を得た。昨年度に実施した実験および解析結果を論文にまとめ、Scientific Reports誌に掲載された(Naito, Katahira, & Kameda, 2022)。また、海外への渡航制限が緩和されるなか、積極的に海外渡航を計画し、ドイツ・コンスタンツ大学で実施されたThe Computational Summer school on Modeling Social and collective behavior(COSMOS)で研究報告を行ったほか、ドイツ・テュービンゲン大学Human-Machine Cognition Labにて本研究に関するトークを行った。さらに、本研究のデータをさらに深く理解するための新たな展開に向けて、オンライン実験システムを利用した新たな条件を含めた追加データの収集に着手した。本研究課題を考究するなかで得た研究分野を俯瞰する理解を総説論文にまとめ、認知科学誌に『集合知を支える社会学習過程の合理的基礎』として掲載されたほか、数理社会学事典(丸善出版)の分担執筆(『集合的意思決定への実験アプローチ』)にも参加した。このように、本研究課題全体を通して、当初の目的であった「従来の社会心理学を軸に、多角的な視点から現代社会における集団の知恵の成立条件とその基盤メカニズムの実験・実証的研究を試みる」というビジョンに対して十分な接近を達成することができた。
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