研究実績の概要 |
近年,最先端の半導体デバイス実現に向けて多様な機能を有した薄膜材料の開発が進められており,化学気相堆積(CVD)法および原子層堆積(ALD)法は薄膜を堆積させる代表的な手法である.我々は,CVD/ALD法における反応動力学現象の理解を通じて,その表面反応メカニズムの解明を目的としている.本年度は,主に気体分子種(SiH3, SiH2, GeH3, GeH2)の組成および基板温度が堆積薄膜の結晶構造および原子組成に及ぼす影響について調査した. 気体分子種の組成が結晶性に及ぼす影響に関して,SiH3に対してGeH3の割合が0.5の場合に結晶性は最低値を取り,SiH2に対してGeH3の割合が0.7の場合に結晶性は最低値を取ることが示された.気体分子種の組成が薄膜組成に及ぼす影響に関しては,Geを含む気体分子種の導入量を増加させると,薄膜内のSi含有量は減少,Ge含有量は増加した.Hに関しては,一貫した傾向が見られなかった.ただし,薄膜内のGe含有量の増加は導入する気体分子種に大きく依存することが明らかとなった.特にSiH3に対してGeH3を導入した場合と,SiH2に対してGeH3を導入した場合を比較すると,前者のほうがGe含有量は高くなる傾向が示された.この結果は,Geが優先的に薄膜内に取り込まれたことを示しており,実験的にもこのような現象が確認されている. 得られた知見について,2020 International Conference on Simulation of Semiconductor Processes and Devices(SISPAD2020),Pacific Rim Meeting on Electrochemical & Solid-State Science 2020(PRiME2020),などで発表を行った.
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