研究課題/領域番号 |
20J20915
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上根 直也 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | ReaxFF MD / DFT / CVD / ALD / Thin Film Growth / Silicon Germanium / Boron Nitride |
研究実績の概要 |
近年,最先端の半導体デバイス実現に向けて多様な機能を有した薄膜材料の開発が進められており,化学気相堆積(CVD)法および原子層堆積(ALD)法は薄膜を堆積させる代表的な手法である.これらの手法を用いて所望の薄膜を得るには,気体分子種の組成,プロセス温度などの多次元パラメータを最適化する必要がある.数値計算による最適化が大きな注目を集めているが,ミクロスケールの現象,特に分子の運動が反応に及ぼす影響が十分考慮されていないために実現象を精度よく再現することができず,薄膜堆積中の反応動力学現象の理解が求められている.我々は,CVD/ALD法における反応動力学現象の理解を通じて,その表面反応メカニズムの解明を目的としている.本年度は,PECVD法によるSiGe成膜において成膜温度が結晶性および原子組成におよぼす影響について反応性力場分子動力学法を用いて調査した.基板温度が結晶性に及ぼす影響に関して,基板温度の増加は結晶性を増加させる傾向を示すことが明らかとなった.これは,反応した原子が大きな運動エネルギーを受け取ることで最安定位置に移動しやすくなったことによると考えられ,実験的な事実と一致する.基板温度が薄膜組成に及ぼす影響に関しては,基板温度の増加に伴ってH原子の含有量が減少する傾向が確認された. また,ALD法によるBN成膜において成膜温度が結晶性および原子組成に及ぼす影響について実験的に調査し,ALD windowと呼ばれる,原子層成長を可能とする特異な温度領域を特定した.更に,上記のALDプロセスにおける成膜メカニズム解明に向けて,反応性力場分子動力学法(ReaxFF MD法)で必要な力場の構築を行うために米国Pennsylvania state UniversityのProf. Adri van Dunの元に半年間留学し,その構築に取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた,ALD法によるBN成膜において成膜温度が結晶性および原子組成に及ぼす影響に関して,実験的な調査が完了したため.また,単独では困難な反応性力場分子動力学法(ReaxFF MD法)で必要な力場の構築は,米国Pennsylvania state UniversityのProf. Adri van Dunの元に半年間留学することで,直接指導を受けたことにより,その構築がスムーズに進展しているため.
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている,ALD法によるBN成膜を実現する反応性力場分子動力学法(ReaxFF MD法)で必要な力場の構築を引き続き実行する.またこれらの成果をALD/ALE2022において報告する.
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