• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

シアノバクテリアの高温耐性機構の理解とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 20J21121
研究機関東京工業大学

研究代表者

長谷川 葉月  東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワード高温耐性 / シアノバクテリア / 光合成 / 時計
研究実績の概要

概日リズムと増殖温度に関する研究結果を報告します。RpaAは時計遺伝子群の転写因子として知られており、先行研究より、シアノバクテリアの一種S. elongatusにおいてrpaAを欠損させると細胞内時計が日中(daytime)に固定されることがわかっています。そこでS. elongatusのrpaA欠損株を作製し、その増殖温度を野生株と比較しました。その結果、通常培養温度である30度やそれより10度高い40度での増殖に両株で大差はないものの、20度ではrpaA欠損株は野生株より増殖が抑制されました。増殖阻害が起きている条件下(rpaA欠損株を20度で培養)では、細胞内に活性酸素種の一種である過酸化水素の蓄積が観察されたことから、活性酸素種の発生・蓄積が増殖阻害の原因であると示唆されました。活性酸素種の発生源として光合成が考えられたので、酸素電極を用いて野生株とrpaA欠損株の光合成活性を測定しました。その結果、20度において、rpaA欠損株では光合成活性が著しく低下していることがわかりました。このことから、概日リズムは高温下での増殖には影響を与えないものの、低温下での増殖に関しては、光合成活性調節を介して増殖を制御していることが示唆されました。
一方、高温下での増殖においては、通常培養温度である30度より10度高い40度において、S. elongatusは通常は増殖阻害が起きないことがわかりました。しかし、当研究室で維持していたS. elongatusの野生株は40度に感受性を示したことから、遺伝子変異により高温感受性を得たと考えています。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19感染防止による出校制限により、当初予定していた通りに実験を進めることができなかったため。

今後の研究の推進方策

今後はシアノバクテリアの長期的な高温下での増殖に必要なメカニズム解明に注力する予定です。特に、当研究室で保持している高温感受性シアノバクテリアにおいて、高温感受性の原因となる因子をホールゲノムシーケンスなどによって特定し、その因子を改変することで、より長期的な高温下での増殖に適したシアノバクテリアの作出を目指します。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] シアノバクテリアにおいて時計制御因子RpaAが光合成電子伝達制御を介して増殖至適温度を制御する2021

    • 著者名/発表者名
      長谷川葉月
    • 学会等名
      日本植物生理学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi