研究実績の概要 |
本年度では異種タンパク質間相互作用スクリーニングに必要な対象タンパク質の選定、およびバーコード株の高速取得法の開発を行った。 対象を選定するためのタンパク質間相互作用スクリーニングの予備実験の結果から、BFG-DHFR PCA法のスコアは結晶構造を元に算出した相互作用に寄与しているアミノ酸残機の数と正の相関を示した。このことから、様々な変異を導入し相互作用の違いを検証するにはプロテアソーム複合体のサブユニットに着目することが妥当だと示唆された。本研究では他種のタンパク質の相互作用をプロファイルの違いを計測するため、対象を限定できるβサブユニットに着目し出芽酵母のタンパク質クエリにMethPhOrs データベースより相同タンパク質を取得した。これらのうち機能補完が試験されている(Kachroo et al., Science, 2015)モデル生物5 種と出芽酵母に近縁の酵母5種について出芽酵母での発現に適したコドンを持つ遺伝子フラグメントを設計した。 BFG法では、バーコード化プラスミドベクターライブラリの構築が律速となる。したがって、これを高速に調整できる方法論を検討した。従来法では、個別に用意したバーコード化ベクターにそれぞれタンパク質コード配列をサブクローニングする必要があった。ここでは、全てのタンパク質コード配列を混合し、その後にランダムにバーコード化、組み合わせを同定することで高速化と簡易化を図った。予備実験として既知の120のバーコード化プラスミドベクター混合産物をイルミナシーケンス(バーコード領域のデータベース構築)とナノポアシーケンス(タンパク質コード配列とバーコード配列の対応)を併用することでAUC=0.97の精度で正しい組み合わせを取得することができた。これにより、スクリーニングに関する試料準備が1-2ヶ月程度短縮された。
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