研究課題/領域番号 |
20J21274
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中上 晨介 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | ネットワーク形成ゲーム / Core-Periphery / R&D / スピルオーバー / アライアンス / イノベーション |
研究実績の概要 |
2021年度は,これまでに構築したモデルをpolishし企業数をnとした場合の分析を進めた.具体的には,これまでのCore-Peripheryネットワークの定義を一般化させ,企業数がnの場合でも分析可能なように定義を書き直した.本研究におけるCore-Peripheryネットワークの定義は,ノードのheterogeneityを反映させた新しいネットワークの定義となっている.なお,ノードのheterogeneityとは,各企業が持つ特許などの技術のことをさす.また,それに伴い安定性の定義についも企業のheterogeneityを反映させ,モデルに即した新たな安定性の概念を構築した. 分析に関しては,企業数をnとした場合の分析の方向性を探った.ノードの異質性を取り入れることは,本研究の新しさではあるものの,分析を複雑にする要因となっており,これまでの分析手法では直接分析を行うことが困難となっている.現在は,既存の分析手法を見直して,それらがどのように本研究の分析に応用できるかを探っている.同時に,これまでの分析手法で扱えるよう,異なる方法も検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進捗があった点は次の二点である.初めに,Core-Periphery構造に関する研究をサーベイする中で組織や銀行間取引に関する文献を見つけ,本研究の新規性を考え直すことができたことである.調べたものの中では,ノードのheterogeneityは明示的に取り入れられていないことが確認でき,本研究の新規性としてアピールできるものと考えている.次に進捗があった点は,新たにいくつかのネットワークの概念を構築した点である.Core-periphery構造については,既存の定義を応用することで,ノードのheterogeneityを反映させた新たなCore-Periphery構造を定義した.これらの定義は,他のネットワークを考える際にも応用できる概念となっている. 進捗があまりみられなかった点は主に分析についてである.2021度は企業数がnの場合の分析に取り組む予定であったが,思うように進まなかった.原因の一つとしては,企業のheterogeneityを取り入れたことによって既存の分析手法が直接扱えなくなったためである.本来であれば分析も完了させる予定であったたが,2022年度以降どのように分析を進めていくかもう一度練り直す必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は,分析を完了させ,分析結果を論文としてまとめることである.初めに,企業数をnとした場合の分析を完了させる.そのために既存の分析手法をもう一度見直し,本研究にどのように応用できるかを考えたい.既存の分析手法で上手く扱えない場合は,新たな仮定を加えたり,n→∞にするなど異なる方法を考る必要がある.分析が完了した段階で執筆作業に移る.現実にみられるように,なぜ多くの知識や技術を持つ企業が多くの提携相手を持ち,少ない技術や知識を持つ企業の提携相手が少ないのかをできるだけ直感的に平易な言葉で説明できるよう努めたい.これらの結果を踏まえ,本研究からえられる政策的意義についても議論したい.
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