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2020 年度 実績報告書

比較ゲノムによるサンゴ共生系を生み出すゲノム基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J21301
研究機関東京大学

研究代表者

善岡 祐輝  東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1) (20982169)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワードサンゴ / 遺伝子 / ゲノム / 比較ゲノム解析 / 共生
研究実績の概要

本研究では、世代毎に環境中から褐虫藻を獲得する水平伝播型と、親から卵を通じて褐虫藻を受け継ぐ垂直伝播型の共生様式を生み出すゲノム基盤を解明することを目的とする。
当該年度は水平伝播型と垂直伝播型のサンゴの高精度な比較ゲノム解析を行うために、(1)シーケンスデータの収集と(2)ゲノムデータの整備を行った。(1)シーケンスデータの収集:ミドリイシ科に属するコモンサンゴ属2種(垂直伝播型)と、分子系統的にミドリイシ科の祖先型に近いアナサンゴ属1種(水平伝播型)を解析対象種とした。そして、複数の胚発生ステージ(卵、プラヌラ幼生など計11サンプル)から全RNAを抽出し、次世代シーケンサー(Illumina HiSeq)を使って網羅的にシーケンス(RNA-seq)を行った。(2)ゲノムデータの整備:解析対象とした3種のゲノムのキュレーション及び、シーケンスしたRNA情報を活用して遺伝子領域(遺伝子モデル)の予測を行った。予測した遺伝子モデルのベンチマークテストを行ったところ、過去に報告されているコモンサンゴ属、アナサンゴ属の遺伝子モデルより高精度な結果を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度は、水平伝播型と垂直伝播型のサンゴの比較ゲノム解析準備と、水平伝播型サンゴ種の共生重要遺伝子の機能解析を予定していた。しかし、COVID-19の流行によって様々な行動が制限されため、出張が困難となり実験の実施が不可能であった。比較ゲノム解析を行うための準備は予定通り進んだ。

今後の研究の推進方策

水平伝播型と垂直伝播型のサンゴの比較ゲノム解析について:
予測した遺伝子モデルを使って、水平伝播型のサンゴ複数種と比較ゲノム解析を行う。そして、垂直伝播型のサンゴが特異的に獲得・喪失した遺伝子群、進化速度の速い遺伝子群の特定及び、これらの進化的意義についての考察を深めることで、垂直伝播型の共生メカニズムの推察を行う。
共生重要遺伝子の機能解析について:
サンゴの産卵は季節性であるため、その時期を逃すと実験は不可能である。COVID-19の流行状況に配慮しつつ可能な限り作業を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Whole-Genome Transcriptome Analyses of Native Symbionts Reveal Host Coral Genomic Novelties for Establishing Coral?Algae Symbioses2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshioka Yuki、Yamashita Hiroshi、Suzuki Go、Zayasu Yuna、Tada Ipputa、Kanda Miyuki、Satoh Noriyuki、Shoguchi Eiichi、Shinzato Chuya
    • 雑誌名

      Genome Biology and Evolution

      巻: 13 ページ: 1-18

    • DOI

      10.1093/gbe/evaa240

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高精度な比較ゲノムを可能とするミドリイシ科サンゴからの遺伝子モデル構築2020

    • 著者名/発表者名
      善岡祐輝、山下洋、鈴木豪、新里宙也
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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