研究実績の概要 |
今年度は胸ビレ鰭条骨形成期における(1)Wnt・Bmpシグナル、および(2)Shh・Hox遺伝子の活性と機能に関する実験を行なった。(1)Wnt・Bmpシグナルに関してはそれぞれのresponsive elementを導入したトランスジェニックゼブラフィッシュの観察を行なった。しかし、このトランスジェニックゼブラフィッシュの蛍光が発生後期において全身で減衰してしまったこともあり、それぞれにおいて予想していたようなチューリングパターン様の発現パターンは観察されなかった。(2)Shh・Hox遺伝子に関しては昨年度CRISPR-Cas9によるノックインにて作製したshha, shhb, hoxa13b, hoxd13aの遺伝子領域にEGFPを導入したトランスジェニックゼブラフィッシュの胸ビレを観察した。その結果、Shhに関してはshhaとshhbで胸ビレ鰭条骨形成期における発現パターンが異なった。Shhの下流遺伝子として働くHoxに関してもhoxa13b, hoxd13aそれぞれの発現が胸ビレ鰭条骨形成期において発現を示した。これらの遺伝子の胸ビレ鰭条骨形成期の働きを明らかにするために2つのShh遺伝子のノックアウトを行ったところ、shha, shhbは機能分化を生じており、shhaは鰭条骨自体の形成を、shhbはその基部となる軟骨性骨領域の後方部の形成を担っていることが明らかになった。
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