研究課題
1. 既存のBBB透過ペプチドの比較検討を基盤とした脳指向性DDSキャリアの開発:様々な受容体を標的とした既報にあるBBB透過性ペプチド8種類の比較検討の結果、ApoE模倣ペプチド(ApoEdp)が最も効率的に脳に集積する可能性を見出した。ApoEdpをリガンドとしたペプチド脂質誘導体を新たに合成し、PEGリポソームに修飾したところ脳への集積性を向上させた。組織透明化技術を活用した多色深部観察法を用いることで、一部脳血管外に分布することを明らかにした。さらにmRNA内封脂質ナノ粒子(mRNA-LNP)に修飾した際にも脳におけるルシフェラーゼ活性を向上させる可能性を明らかにした。ApoEdpはグリオーマ指向性リガンドでもあるため、BBB透過性評価とグリオーマ結合性を併せた評価を行ったところ、mRNA-LNPは、効率的にBBB単層膜を透過し下層のグリオーマにおける発現効率の上昇が認められた。2. 新規BBB透過ペプチドの探索とDDSキャリアに応用可能な脂質開発:ファージライブラリを用いた探索の結果、複数のBBB透過候補環状ペプチドの探索に成功した。一方で、探索されたペプチドのDDSキャリアへの応用・機能性評価に向けて脂質誘導体化が困難であった。そこで、アルキン-アジドのクリック反応を介してDDSキャリアに環状ペプチドを修飾可能な新規アダプター脂質を設計・合成した。モデルリガンドとしてがん細胞指向性をもつ環状RGDfKを採用したところ、DDSキャリアに後修飾可能な高水分散性を示す環状RGDfKペプチド脂質誘導体の合成に成功した。本脂質をドキソルビシン封入PEGリポソームに対して水系溶媒中で後修飾を施した製剤は、優れたがん細胞傷害性を示すことを明らかにした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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