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2020 年度 実績報告書

光応答性分子を用いた光新機能の創生とバイオフォトニクスへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 20J21342
研究機関龍谷大学

研究代表者

中川 優磨  龍谷大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワードジアリールエテン / 分子スイッチ / 光誘起細胞毒性 / DNAインターカレーション
研究実績の概要

本年度は本研究課題に掲げた研究課題①: アリール基にthiazole環をもつジアリールエテンの光誘起細胞毒性と評価において、開環異性体は分布能力を示さない、すなわち核のDNAに挿入することができないが、UV光照射により、生成された閉環異性体は挿入することができることが示唆され、これはDFT計算を用いた開環及び閉環異性体の分子構造の最適化結果より、開環異性体は嵩高い構造であるのに対し、閉環異性体は分子平面性が高いことに起因すると考えられる。その構造の違いによって光誘起細胞毒性が異なると結論付けた。また、分子内にthiazole環をもつジアリールエテンの光誘起細胞毒性は、閉環異性体でDNAに挿入することでclosed form-DNA complexが形成され、その後青色光 (λ= 436 nm)の照射によって光開環化が起こり、生成したopen form-DNA complexがopen form単体ではもたない436 nmに吸収をもつことから光誘起細胞毒性が引き起こされる可能性が示唆された。そこで、closed formが光開環化するが、open form-DNA complexが吸収をもたない緑色光 (λ= 546 nm)を照射後、青色光 (λ= 436 nm)を照射して光誘起細胞毒性が発現するかを検討した。その結果、緑色光照射領域では細胞死は観察されなかったが、緑色光+青色光の重なった照射領域では光誘起細胞毒性が発現し、使用したHeLa細胞の死滅が確認された。そのため、thiazole環をもつジアリールエテンの光誘起細胞毒性は、分子平面性の高いclosed-formでDNAにインターカレートした後、光開環化したopen form-DNA complexによって引き起こされていると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和2年度において、研究課題①: アリール基にthiazole環をもつジアリールエテン(DAE)の光誘起細胞毒性と評価については開環異性体は分布能力を示さない、すなわち核のDNAに挿入することができないが、UV光照射により、生成された閉環異性体は挿入することができることが示唆された。これは、DFT計算を用いた開環及び閉環異性体の分子構造の最適化結果より、開環異性体は嵩高い構造であるのに対し、閉環異性体は分子平面性が高いことに起因すると考えられる。加えて、DNA共存下で閉環異性体に青色光 (λ= 436 nm)を照射すると光開環化に伴って開環異性体が生成されるが、その際に開環異性体-DNA複合体は本来の開環異性体がもたない436 nmに吸収をもつことが分かり、thiazole環をもつジアリールエテンの光誘起細胞毒性は光誘導開環によって生成された開環異性体-DNA複合体によって引き起こされることが示唆された。この課題については概ね順調に進行しており、現在論文投稿準備中である。
また、令和3年度の研究課題として掲げている研究課題③: ガラス転移温度(Tg)を境界とした光誘起結晶成長とフォトサリエント効果の切り替えを令和2年度の後半より取り組み始めたが、当初用いる予定であったDAEでの結晶成長が見られなかった。そこで、令和3年度では、代替できるDAEを探しながら、システムの構築を目指す。

今後の研究の推進方策

ジアリールエテン誘導体の光誘起細胞毒性を発現するのに必要な基本構造の探索を目的に、新たに誘導体を合成して検討したところ、thiazole環をもつジアリールエテンで分子平面性の高い閉環異性体においても、末端に嵩高い置換基であるtert-butyl基を導入すると光誘起細胞毒性が低下することが示唆された。そのため、これまでに合成及び光誘起細胞毒性を検討してきたDAE誘導体を用いて、分子構造と細胞毒性の相関をより詳細に検討していく。
令和3年度の研究課題として掲げている研究課題③: ガラス転移温度(Tg)を境界とした光誘起結晶成長とフォトサリエント効果の切り替えを令和2年度の後半より取り組み始めたが、当初用いる予定であったDAEでの結晶成長が見られなかった。そこで、令和3年度では、代替できるDAEを探しながら、システムの構築を目指す。
また、これまでの研究の過程で合成した誘導体が結晶状態では紫外光照射によってCIE1931色度座標において(0.31, 0.30)の白色発光を示すことが観察された。そのため、この誘導体の白色発光メカニズムについても調査する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ジアリールエテンの酸化型光環化による高蛍光発光2021

    • 著者名/発表者名
      中川優磨
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会

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公開日: 2021-12-27  

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