研究課題/領域番号 |
20J21577
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
奥津 明俊 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | AdS/CFT / Holographic QCD / QGP / Chiral Anomakly / Chiral Magnetic Effect |
研究実績の概要 |
2020年度では、論文投稿などはなかったが、前半(4月から10月)ひたすらプログラムを作成し、試行錯誤の時期であった。 そもそも、私の当時の研究課題はQGP中の電気伝導率のカイラルアノマリーによる影響である。カイラルアノマリーによるQGP中の電流への寄与を計算するために、5次元AdS空間においてブラックホールに落ちるゲージ場の運動方程式を解く必要があったのだが、その際にカイラルアノマリーをどのようにパラメーターとしてプログラムに入れるのかを考えるのに2ヶ月程度かかった。結果、カイラルアノマリーを、D-brane上のDBI作用におけるChern Simons項で表し、その係数αをプログラム中のパラメーターに入れることが決まった。 また、結果が出ても、通常massless QCDでは発散するとされている電気伝導率が、有限になり、さらに電流が増えるどころか減少しているという驚きの結果が出たので、その考察に2ヶ月程度かかっている。 そして、2020年度後半(11月以降)は、プログラムの結果を受けて、カイラルアノマリーのさまざまな定式化や、アノマリーの種類(covariant anomaly と、consistent anomaly)などを調べ、使っていたホログラフィー模型(酒井・杉本模型)に会うのはどっちかなどを考えていたが、covariant anomalyで十分だということがわかった。 以上、2020年度の研究結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
まず、コロナによる影響は大きい。対面で議論する機会が損なわれたことが全体としての理由である。
個別な理由としては、想定外の結果がプログラムで出たことと、カイラルアノマリーに対する自らの理解が不足していたことの二つがある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2020年度の成果を論文として書き上げてジャーナルに投稿することと、QGP中に回転の効果を取り入れて理解を深めることである。
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