採用3年目にあたる2022年度には、1.「日本仏教」と「「日本仏教」ではない仏教」に関する歴史叙述と「信仰」の問題 2.釈迦と阿弥陀仏の「人格」をめぐる議論と「信仰」の結び付き 3.世紀転換期の修養言説における「信仰」と「儀礼」4.近代仏教研究における「信仰」の位相 という課題に取り組んだ。 1については、村上専精、境野黄洋や島地大等を対象とし、「日本仏教の特色」という語り方における「信仰」に焦点を当て「日本仏教史の創出と「信仰」」を日本宗教学会第81回学術大会で報告し、同様の課題について“Saving Buddhism from Degradation”も英語で、Hasekura League Symposiumで報告した。2については、「人格」として認識された釈迦をいかに自らの「信仰」の拠り所とするか、という課題に直面していた浄土宗と真宗の知識人に焦点を当て、彼らはいかに釈迦と阿弥陀仏を同じく「仏陀」の体系で説明しようと試みたかを考察し、「明治後期・大正期の「人格」と「信仰」」が『宗教と倫理』に掲載された。3については、姉崎正治の『宗教学概論』(1900年)における「信仰」と「儀礼」の語り方を考察し、それを同時代の「修養」に関する議論に位置付け、「近代日本における「信仰」と「儀礼」の語り方」を『日本研究』に投稿し、掲載が決定された。4の課題については、戦後の近代仏教研究を振り返りながら、2000年代以降の近代仏教研究を牽引した先学者たちの成果を取り上げ、信仰論との関連でいかなる示唆が得られるかを議論し、「近代仏教はいかに「信仰」を構築したか」を日本近代仏教史研究会第30回研究大会で報告し、「近代日本仏教史における「信仰」の構築」を『近代仏教』に投稿し、掲載が決定された。同様の課題について、「近代日本における「信仰」の諸相」を日本学研究会第4回学術大会で報告した。
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