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2021 年度 実績報告書

高圧下その場XAFS測定によるマグマオーシャンの酸化還元反応の検討

研究課題

研究課題/領域番号 20J21667
研究機関東京大学

研究代表者

小澤 佳祐  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワード高圧地球科学 / ダイヤモンドアンビルセル / XAFS法
研究実績の概要

これまで、X線吸収分光法(XAFS法)による高圧条件での構造解析の研究はあまり行われていなかった。特に、高圧下試料中の微量元素を対象にしたXAFS法による構造解析の先行研究はほとんどなかった。その一番の原因として、圧力発生装置をはじめとする試料以外の物質にX線を大幅に吸収されてしまう問題が挙げられる。この問題点を解決するために、本研究では従来の高圧試料のXAFS測定とは異なるレイアウトでの測定方法を確立し、その結果、試料以外によるX線の吸収を抑えることが可能になった。この手法を利用して、マグマのアナログ物質であるケイ酸塩ガラス中のタングステンおよび鉄の化学状態および局所構造の解析を行った。その結果、ケイ酸塩ガラス中のタングステンは、ケイ酸塩ガラスの主成分であるケイ素の配位数増加挙動と類似する圧縮挙動を示した。ケイ酸塩ガラスおよびマグマ中でこのタングステンの配位数増加が起こることで、タングステンの液体金属鉄-マグマ間の分配挙動が5GPa付近で変化する原因を説明することができる。さらに、高圧試料のXAFS測定によってケイ酸塩ガラス中の二価鉄および三価鉄の配位数および化学状態変化の測定を行った。その結果、下部マントル中腹の圧力よりも低圧条件ではどちらの酸化数もスピン転移を起こさないことが確認された。加えて、15GPa以下の圧力領域では、二価鉄に比べて三価鉄の方が配位数増加が大きく、効率的に圧縮されることが確認された。この圧縮性の違いは、先行研究によって報告されている高圧下マグマ中で二価鉄が金属鉄と三価鉄に不均化反応を駆動するメカニズムであると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、昨年度確立した高圧下その場XAFS測定手法を使用して、高圧下玄武岩ガラス中に含まれる二価鉄および酸化鉄の局所構造および化学状態の圧力変化を明らかにした。加えて、これらの研究をまとめた論文を国際学術誌に投稿した。また、高圧下での溶融ケイ酸塩-固相ケイ酸塩の元素分配実験を行い、回収試料の化学分析手法のルーチン化に成功したため、順調に研究が進んでいると言える。このように当初の計画で予定されていたものは、計画通りに進展している。

今後の研究の推進方策

今後としては、これまでに行っていた高圧下での溶融ケイ酸塩-固相ケイ酸塩の元素分配実験を進め、国際学術誌に論文を投稿することを目指す。特に、鉄元素の分配に加えて、微量元素分配挙動の測定を行うことを計画している。加えて、これまでに確立した「高圧下その場XAFS測定手法」を利用して、地球科学的に重要な元素であるNi,Co,Moの局所構造の圧力変化の研究を行う予定である。これらの局所構造の圧力変化と分配挙動の圧力変化を対応づけることによって、高圧下での元素分配挙動の深い理解を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 高圧下蛍光XAFS法による初期地球深部における微量元素の分配挙動の解明2021

    • 著者名/発表者名
      小澤佳祐
    • 学会等名
      2021年度日本地球化学会第68回年会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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