研究課題/領域番号 |
20J21966
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邊 彬生 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | 共形場理論 / 超対称ゲージ理論 / W代数 / 量子変形 / 量子トロイダル代数 / 三浦変換 |
研究実績の概要 |
2020年度の主な進展として、次の3つが挙げられる。 1. 行列模型と無限次元代数 本研究では、無限次元代数を対称性として持った理論から出発し、dimensional oxidizationと呼ばれる手法を用いることで、コセット上の理論と関連付ける研究をおこなった。2020年度にプレプリントをarxivに投稿し、同年度にJHEPから査読付き論文として出版された。プロジェクトのメインテーマである量子変形された無限次元代数について、物理的な観点から進展を得たと言える。 2. コーナー頂点代数の量子変形 本研究は、近年GaiottoとRapcakによって発見された、弦理論でのブレーンの組み合わせから新しい代数を得る方法であるコーナー頂点代数がもとになっている。我々はそれを量子変形して新しい代数を構成した。量子変形前の交換関係に相当する二次関係式も得た。Miura変換を用いて構成した後、DIM代数との対応関係も明らかにした。以上の成果をプレプリントとして投稿した。また、このプレプリントは2021年度にJHEPから査読付き論文として出版された。 3. quiver Yangianの量子変形 LiとYamazakiによって近年、affine Yangianを一般化したquiver Yangianが構成された。私と共同研究者は、これらの量子変形の構成および表現論について2020年度に議論を進めた。これらの成果は、2021年度にプレプリントとして投稿された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当年度には2本のプレプリントを投稿することができ、プロジェクトのメインテーマである量子変形した無限次元代数について、2つの異なる観点から理解が進んだ。また、2021年度quiver Yangianに関する研究につながる議論を始めることができた点も進展と言える。以上から、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(本報告書はコロナウイルス感染症の流行に伴う科研費繰越し申請のため、2021年度の報告書と同時期に提出しているため、2021年度ではなく2022年度の推進方策について述べる。) 2022年度は特別研究員期間の最終年度であるため、昨年度まで行ってきた研究をさらに進展させ、結果をまとめて論文や学会で発表することを目指す。 第一に、昨年度から海外共同研究者と協力して進めてきた、W代数のR行列とILWについての関連を引き続き調べる。 第二に、2021年4月に出版した論文ではコーナー頂点代数のq変形を数学的に構成したが、これの物理的性質の解明に挑戦する。 また、この論文で用いたMiura変換の変形を、他の代数の構成に応用することも試みる。 第三に、博士課程3年次であるため、これまでの成果をまとめ、博士論文として発表する。
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