研究課題/領域番号 |
20J21976
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池田 鮎美 九州大学, 人間環境学府, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
キーワード | 超自然的存在 / HADD Theory / パレイドリア / フィールドワーク |
研究実績の概要 |
令和3年度においては,コロナ禍によって延期されていたフィールドワークを一部再開すると共に,昨年度に引き続き実験をオンラインへ移行し,データ収集をおこなった。さらに,データ収集結果を整理しつつ,その成果を日本認知心理学会や身体学領域会議にて報告した。 フィールドワーク調査では日本三大霊山に数えられる富士山と立山雄山でのデータ収集が実施された。霊山を調査するに至った理由は,これまでの主眼であった霊や怪奇伝承以外の超自然的存在として,神を含む神聖な対象についてのデータ収集を行うためである。日本において山岳信仰は古より重要視されている。現代においても名高い霊山での調査を実行することによって,神霊の方面から超自然的存在の認識に迫ることを目的としていた。加えて,コロナ禍により人の少ない環境での調査を優先したことも計画の変更理由に含まれる。富士山でのフィールドワーク調査は悪天に見舞われ予定していた富士山頂上浅間大社奥宮への訪問は叶わなかった。しかし,貴重な天候環境の環境・映像データの収集ができた。立山への調査は11月に実施され,極寒・高緯度環境でのデータ収集と雄山神社への訪問が目的であり,こちらは双方を達成することができた。11月の調査以降,GPSの導入により,緯度と気温・湿度,時間を一致させて記録することが可能となった。その他,現在国際誌に研究成果をまとめた論文を2本投稿中である。さらには,新たに2つの共同研究プロジェクトに携わっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は人が超自然的存在を認識するのはなぜか,その認知メカニズムの詳細を明らかにすることを目的にしている。令和2年度に引き続き,外部要因に着目した調査を実施すると共に,環境的物理指標の操作が認知に与える影響について検討を行う計画であった。 しかし,令和3年度のフィールドワーク調査は新型コロナウイルスの感染拡大状況を考慮して当初の計画の一部を変更し,調査時期や場所の調整が行われた。結果的に,日本三大霊山に数えられる富士山と立山雄山にてフィールドワーク調査が実施された。霊山を調査するに至った理由は,これまでの主眼であった霊や怪奇伝承以外の超自然的存在として,神を含む神聖な対象についてのデータ収集を行うためである。そこで,日本において古より重要視される山岳信仰に着目し,霊山での調査を実行することとなった。このような時勢によるフィールドワーク計画の変更により,事前の計画よりも進行はやや遅れている。加えて,再開予定であった実験室実験については,引き続き新型コロナウイルスによる行動制限から十分な参加者数を確保できない状況にあったため,オンライン化が可能な実験や事前調査を優先して進行させた。しかし,研究成果を研究会にて報告した他,論文の執筆を進めて2本の論文を国際誌に投稿するなど,ある程度の成果を残すこともできた。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度においては,対面実験を再開し,これまで収集した環境データを反映させた実験室実験を実施することを目標としている。 また,収集した環境データと実験成果をもとに,知覚情報がどのような処理を経て超自然的存在の認識を生じさせるのか,超自然的存在を認知するまでのプロセスについてモデルを構築進める。そして,これまでの研究成果を論文化し,国際誌に投稿していく。これに加えて,今後も継続的に研究成果を国内外の学会で発表していく。
|