研究課題/領域番号 |
20J22214
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
TSENG ShihYen 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | ニュートリノ振動 / MiniBooNE実験 / ステライルニュートリノ / アクシオン |
研究実績の概要 |
フェルミ研究所でニュートリノ振動を観測するMiniBooNE実験が結果を更新し、(560.6±119.6)個の電子的事象の過剰を観測したと報告し、標準模型の予想値から4.8標準偏差くらいずれていることがわかった。この実験の結果について、多くの物理学者は標準模型を超える新物理の存在を示唆していると考えている。 MiniBooNEの過剰事象を説明するために、私は共同研究者と共に、標準理論のニュートリノセクターの拡張として、新しいニュートリノ(ディラック型ステライルニュートリノ)の存在を仮定した上、レプトンと相互作用するアクシオン的粒子のシナリオを提案した。この枠組みでは、荷電K中間子の崩壊により生成されたステライルニュートリノは約450メートルの土の中を通り、MiniBooNEの検出器を装着している容器の中に入射する。そしてMiniBooNEの検出器に到達する直前にアクシオン的粒子とミューニュートリノに崩壊する。さらにアクシオン的粒子の崩壊から生成される電子・陽電子対は、その開き角が十分に小さければ二つの粒子を区別することができなくなり、電子的事象として解釈することができます。ステライルニュートリノの質量、ニュートリノの混合パラメータやアクシオン的粒子の質量などを適切に選ぶことで、天体物理学およびコライダー実験からの制限を回避し、MiniBooNE実験における電子過剰事象を説明できることを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度、私は台湾のNational Taiwan Normal Universityを訪問、滞在し、Chuna-Ren Chen教授らと共著論文でMiniBooNE実験における事象超過を説明する模型を構築し、論文を発表しました。そして昨年度のU(1)ゲージ拡張模型に関する論文を北海道大学の素粒子・宇宙論研究室のセミナーで発表し、研究室の先生と学生と学術交流しました。さらに複数の現在進行中のプロジェクトを持っており、2022年度にも多くの業績をあげられると期待しています。
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今後の研究の推進方策 |
新粒子探索や双極子モーメントに関するプロジェクトを継続します。昨年度に遂行したU(1)Lμ-Lτ模型とU(1)B-L模型に関する研究の成果を研究会やセミナーで発表し、他の研究室の先生と学生への研究成果の共有や学術交流を予想しています。
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