今後の研究の推進方策 |
R2年度に観測された①の金属型SWCNTと単層グラフェンから観測された振る舞いの背景は充分に理解できていない。今後はこの背景を調べ、これらの材料におけるフェルミレベルの影響を解明し、数値計算などでその背景を理解することを目指す。加えて、当初の計画に従い②広いバンドギャップエネルギーを持つ遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)材料におけるHHGとフェルミレベルの関係を明らかにする研究を進める。このTMDC材料は、MX2(M = Mo, W, X = S, Se, Te)の構造を取り、MoS2やWS2などは従来の研究で用いていた単層カーボンナノチューブよりも大きなバンドギャップを持つ。先行研究より、大きなバンドギャップを持つ材料からはフェルミレベル制御により、多くの次数でHHGが増大することが期待されている。そのため、この検証を実験的に行う。加えて、TMDCは空間反転対称性を破る系であり、①の物質では観測することができなかった偶数次のHHGの観測も可能となる。偶数次の次数の強度とフェルミレベルとの関係を今年度明らかにする。
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