これまでの現地調査によって猛禽類4種(オオタカ、ノスリ、トビ、トラフズク)の営巣環境データと、利用している餌資源の特定に必要なペリット(猛禽類が消化できない骨や羽などをまとめて吐き出したもの)の計測と採取が完了している。営巣環境データの計測項目は営巣木の樹種、樹高、巣の高さ、胸高直径、林縁からの距離、舗装道路からの距離に加えて、半径10m以内の胸高直径10cm以上の立木それぞれの樹種、樹高、密度の9項目。オオタカ:12箇所、ノスリ:23箇所、トビ:21箇所、トラフズク21箇所のデータが揃った。今後はGISを用いて巣を中心とした半径1km以内の土地利用割合と、現地で計測できなかった道路からの直線距離についてデータの抽出に取り組んでいる。 餌資源利用に関してはペリットを対象としたDNAメタバーコーディング解析委託が完了した。オオタカ:21サンプル、ノスリ:24サンプル、トビ:22サンプル、トラフズク:20サンプルにおいて真核生物全般を検出可能なCOIプライマーと哺乳類や鳥類を検出可能なMiMammalプライマーの2領域において結果が得られている。オオタカのペリットからはハトやムクドリなどの鳥類が主な餌動物として検出され、ノスリ、トビ、トラフズクのペリットからは主にハタネズミが検出され、それぞれの主要な餌資源として利用されていることが裏付けられた。
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