1. 成人T細胞白血病(ATL)は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)の感染を原因として発症する。発症者の割合は数%にとどまるものの、感染者数自体が国内だけでも約100万人に上ると言われており、発症した場合の予後は極めて悪い。予後を改善するためには発症を早期の段階で捕捉し治療介入することが望まれている。そこで本研究では、まずHTLV-1感染者の体内の感染細胞動態を計算する多階層数理モデルを構築し、あらゆる病態進行パターンの再現データを取得した。そのデータを用いて、早期発症予測に使用できる指標を探索するという新しい手法に取り組んだ。結果として、既存の単純なクローン多様性指標に比べ早期に悪性化クローンを検知する指標を発見した。本研究成果は、現在国際誌への投稿準備を進めている。 2. 固形がんの形成過程について、空間構造も考慮した数理モデルによる解析を行い、当該研究について論文にまとめ発表した。
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