研究実績の概要 |
本研究は3回対称性を有するトリスキレート錯体を原料として二次元ハニカムシート構造を合成し、その新奇量子物性の開拓を行う研究であるが、研究の段階としては大きく分けて以下のようになる。 1)トリスキレート錯体に用いる配位子の合成、および配位子の電気化学的物性の調査 2)トリスキレート錯体の合成、および錯体の電気化学的物性の調査 3)二次元ハニカムシート構造の合成 4)ハニカムシート構造の物性探索 実際の研究では、3)の金属錯体の集積において目的の構造を得る事ができず、当初の目的の達成をすることができなかった。一方で、研究の中でベンゼントリイミド骨格を用いた新奇物性の発現を観測し、これらの物性を論文として報告する事ができた。具体的には、N,N’, N''-トリメチルベンゼントリイミドの分子性導体における反強磁性的相互作用-強磁性的相互作用のスピン状態変化、N,N’, N''-トリスキシレンベンゼントリイミドの遅い磁化緩和を観測した。これらの結果はそれぞれ、温度変化による構造の変化とバルキーな置換基の影響による結晶構造中の孤立化に帰属された。これらの結果をまとめ論文として報告した。
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