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2021 年度 実績報告書

カラスをモデルとした集団形成・維持のメカニズムと機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J22529
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

青田 伊莉安  慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワード優劣順位 / カラス
研究実績の概要

本研究の目的はハシブトガラスを離合集散型社会のモデルとし,集団の形成・維持メカニズムを解明することである.ハシブトガラスの飼育群れの1位個体は群れ内で生じる各2個体間の攻撃交渉に積極的に参与し,連続音声の発声頻度が高く,群れの中で特徴的な個体であることから,昨年度に引き続き1位個体の不在が群れの構成員にどのような変化を与えるかを検討した.昨年度は個体の行動に着目し,1位個体の不在時には下位個体の連続音声回数が増加することを発見した.本年度は,この変化の背景にある生理変化を調べるため,糞サンプル中のテストステロン濃度を測定した.カラスの糞中のテストステロン値は市販のELISAキットを用いて測定できることが確認できた.除去実験の際に採取した糞中テストステロンを個体の除去前と除去後とで比較したところ,差は見られなかった.研究成果は、DARS-SWARM2021,日本動物心理学会第81回大会および第45回鳥類内分泌研究会にて発表し、フィードバックを受けた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究成果について、おおむね順調に進展している.本年度は新しい群れで追加の除去実験を行う予定だったが,カラスの捕獲作業が軌道に乗らず新しく群れを導入することができなかったため,追加実験を行うことは叶わなかった.そのかわり,既存の群れと群れの合流を実施し,個体が自由に集団を選択できる状態での社会構造の変化に関するデータを収集した.また本年度はテストステロンの計測系の立ち上げを行ない,除去実験の際に採取した糞サンプルを分析した.全体としては、現時点において研究はおおむね順調に進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

本年度は行動実験系の確立を行う.実験室内で除去実験を再現し,行動レベルの変化をもたらす生理状態の急峻な変化を検討する.また屋外の除去実験で除去個体は視覚的,聴覚的に隔離されていたが,個体除去後の群れの個体の行動の変化が聴覚情報の有無によるものなのかを検討する.カラスの捕獲作業は引き続き進める.可能であれば新しく群れを導入し,個体操作実験を追加で行う.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] The effect of removal of the dominant individual on the fecal testosterone level of a group-housed crows2021

    • 著者名/発表者名
      Illia Aota, Mayu Takano, Yuki Mizuno, Chisato Yatsuda, Kazutaka Mogi, Takefumi Kikusui, Ei-Ichi Izawa
    • 学会等名
      日本動物心理学会第81回大会
  • [学会発表] Experimental removal of the top-ranked individual activates vocalization of the low-ranked individuals in a captive group of crows.2021

    • 著者名/発表者名
      Illia Aota, Ei-Ichi Izawa
    • 学会等名
      DARS-SWARM2021
    • 国際学会
  • [学会発表] 上位個体の隔離操作が群れの行動及び内分泌系に及ぼす影響の検討2021

    • 著者名/発表者名
      青田伊莉安,高野茉夕,水野雄輝,谷津田千理,茂木一孝,菊水健史,伊澤栄一
    • 学会等名
      第45回鳥類内分泌研究会

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公開日: 2022-12-28  

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