令和4年度ははじめに、前年度に合成を達成したπ拡張B4N4-ペンタレン誘導体のOLEDホスト材料としての評価を行った。液体窒素温度下での燐光スペクトルより、最も大きな三重項エネルギーを示したB4N4-ジフェナントロペンタレン誘導体をホスト材料として用いた。作製したOLED素子を評価したところ、昨年報告した非縮環B4N4-ペンタレン誘導体を用いた際と同等のデバイス性能を示した。この成果を学術論文としてまとめ、投稿および出版を完了した。そしてさらなる展開としてキャリア移動度を向上させ、デバイス性能の向上を図った「平面骨格にB4N4-ペンタレン部位を組み込んだ分子」を設計、合成した。この化合物は再結晶条件を変更することで板状晶および針状晶の2種の結晶多形を示した。単結晶X線構造解析により、板状晶と針状晶においてそれぞれ異なる部位で近接、積層したへリングボーン構造を形成していることを明らかにした。結晶中のキャリア移動度を時間分解マイクロ波分光法により測定すると、板状晶は針状晶の2倍の大きさの電荷移動度を示した。この成果については学術論文として近日投稿予定である。
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