研究課題/領域番号 |
20J22918
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
神宮司 明良 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | スパースCNN / FPGA / 計算機アーキテクチャ |
研究実績の概要 |
本研究は、CNNの計算量を削減するスパース化の手法を発展させ、高速処理と低消費電力を両立する画像認識システムを実現することを目的としている。本年度は、特徴マップ分割によるメモリ削減と、計算機効率に最適化したスパース行列の新しい圧縮方式について検討した。特徴マップ分割によるメモリ削減については、CNNの特徴マップを空間分割することによって一度に処理するデータ量を削減する分割方法について計算スケジューリングを提案した。提案したスケジューリング方法をベースとするCNNを用いた画像処理の推論をFPGA上に実装したところ、認識精度をほとんど低下させることなく、既存手法と比べて高速化に成功した。また、計算機効率に最適化したスパース行列の新しい圧縮方式については、特徴マップの一部をグループ化して圧縮する方法を提案し、効率の良いエンコードとデコードを可能とするアーキテクチャを提案した。この圧縮方法は、他の圧縮方法である、重みパラメータの圧縮と高いスパース演算効率で併用することが可能となるように考慮して設計されている。特徴マップの圧縮と重みパラメータの圧縮を併用することで、冪乗則に基づく高速化を達成できる。これらの圧縮方法をもとにしてCNNを用いた画像処理の推論をFPGA上に実装し、複数の圧縮率について計算機効率を測定したところ、提案した圧縮方法は高い計算機効率を達成することが確認できた。本年度はこれらの成果を国際会議1件にて発表し、英文論文誌1件を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、当初の計画通り、特徴マップ分割によるメモリ削減についての検討と、計算機効率に最適化したスパース行列の新しい圧縮方式についての検討を行なった。特徴マップ分割によるメモリ削減については、FPGAを用いた実機検証の結果、従来手法と比べた高速化に成功しており、国際会議1件にて発表し、英文論文誌1件を投稿中である。スパース行列の新しい圧縮方式については、計算機効率の高い圧縮方法を開発し、効率的なゼロスキップを行うアーキテクチャを開発し、実機検証を行っており、現在論文執筆中である。また、スパース率を向上させることによって処理速度の更なる向上が期待されることから、スパース率を向上させる学習方法の開発に着手している。以上のことから、当初の計画以上に発展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策として、本年度は、特徴マップのスパース圧縮方式に関する検討したアーキテクチャについて実機検証を行い論文投稿を行うことと、スパース率を向上させる学習方法について検討する。特徴マップのスパース圧縮方式については本年度に開発した圧縮方法とこれを効率的に処理するアーキテクチャについて、実機検証によって定量的な効果測定を行う。スパース率を向上させる学習方法については、特徴マップと重みパラメータのスパース率は冪乗則に基づいて処理速度の高速化に寄与することが予想される。この高速化を実現するために、特徴マップと重みパラメータの両方について十分に高いスパース率を達成する学習方法について検討する。
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