本研究は、CNNの計算量を削減するスパース化の手法を発展させ、高速処理と低消費電力を両立する画像認識システムを実現することを目的としている。本年度は、昨年度より引き続き特徴マップ分割によるメモリ削減の効果について検証すると共に、昨年度発見したスパース行列の新しい圧縮方式を用いたCNNモデルの学習方法について検討した。特徴マップ分割によるメモリ削減については、複数のCNNモデルについて認識精度をほとんど低下させることなく、メモリを大幅に削減できる効果があることが確認できた。スパース行列の新しい圧縮方式を用いたCNNモデルの学習方法については、焼きなまし法をベースとする最適化アルゴリズムに基づく学習アルゴリズムによって既存の学習モデルから認識精度をほとんど低下させることなく提案するスパース性を持つCNNモデルを学習できることが確認できた。本研究は計画当初より、提案する特徴マップ分割と新しい圧縮方式の手法を組み合わせることにより、エッジ端末向けの実装として消費電力やハードウェアリソースなど厳しい制約を達成できると考えていた。研究者の短縮修了に伴い本課題は本年度で終了されるが、今後の研究の展開としてこれら手法を組み合わせた場合にどのようなパフォーマンスが発揮されるかについて実験を行い評価する必要があると考える。本年度は本研究課題に関連する研究成果として、英文論文誌1件に掲載され、国内研究会で2件発表し、2件の発表受賞を得た。
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