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2020 年度 実績報告書

クワコとカイコの行動活性の差異を決定する家畜化遺伝子の同定と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 20J22954
研究機関東京大学

研究代表者

富原 健太  東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワードカイコ / クワコ / Quantitative Trait Loci / CRISPR/Cas9
研究実績の概要

クワコの幼虫はカイコの幼虫より高い行動活性を持つ。この形質の差異は、カイコが家畜化される過程で、行動活性が低く逃げ出さない個体を選抜したことに起因すると考えられる。しかし、どのような変化がゲノム上に生じることでカイコが行動活性を失ったかについてはわかっていない。本研究は、カイコとクワコの行動の差異を産む原因遺伝子を同定し、その遺伝子の機能を明らかにすることで、家畜化の歴史を遺伝子レベルで理解することを目的とする。本年度は、以下の成果を得た。
<行動活性を司る遺伝子の同定について>
申請者は、カイコとクワコの行動活性の差異を司る遺伝子座の同定のため、両種のF2のゲノム情報と、それぞれの個体の行動量を対応させ、Quantitative Trait Loci (QTL) 解析を行うことを計画している。令和元年度に行動量を測定したF2約650個体からゲノムDNAを抽出し、共同研究先に送付した。現在、Multiplexed Shotgun Genotyping (MSG) ライブラリー作成を進行中である。
<クワコにおけるゲノム編集技術の確立について>
クワコにおいて、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集技術の確立を試みた。クワコが産下した非休眠卵にインジェクションを行い、体細胞モザイクで、ターゲット配列近傍に変異が導入された注射当代 (G0) を得ることができた。G0成虫を野生型と交配し、次世代 (G1) を得たが、変異が導入された個体を見出すことはできなかった。一方、カイコまたはクワコに特異的なcrRNAを作成し、F1の卵にそれぞれインジェクションを行うことも試みた。得られたG0において、シークエンスを行なったところ、アレル特異的に、変異が導入されていることがわかった。本手法を用いることにより、カイコとクワコの遺伝子の機能の差異を検出することができると期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

<行動活性を司る遺伝子の同定について>
F2個体からゲノムDNAを抽出し、共同研究先に送付した。現在MSGライブラリー作成を進行中である。現地の都市封鎖などのため、計画に大幅な遅れが生じている。
<クワコにおけるゲノム編集技術の確立について>
クワコにおけるゲノム編集には成功していない。一方、F1において、アレル特異的に変異が導入させることには成功した。本手法を用いて、本来の目的である、カイコとクワコの遺伝子の機能の差異の検証を行うことは可能であると期待できる。

今後の研究の推進方策

<行動活性を司る遺伝子の同定について>
令和2年度に共同研究先に送付したゲノムをシーケンスし、QTL解析を行い、行動活性に関与する遺伝子が存在する責任領域を絞り込む。また、カイコとクワコのそれぞれについて、脳や筋肉など行動活性に関与する可能性が高いと考えられる組織から、RNAを抽出する。抽出したRNAはRNA-Seqに供し、遺伝子発現情報を取得する。QTL解析によって絞り込まれた領域内の遺伝子について、配列および発現情報と照らし合わせて、行動活性に関与する遺伝子の候補を選定する。
<クワコにおけるゲノム編集技術の確立について>
より高効率な変異導入が見込まれるターゲット配列を再設計し、ゲノム編集を行う。また、インジェクション溶液の組成やインジェクションする時期など、複数の条件を変更することにより、より高効率・高孵化率でゲノム編集を行うことができる条件を探索する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 第4染色体をクワコに置換したコンソミック系統における胚致死の原因遺伝子の同定2021

    • 著者名/発表者名
      富原健太・小林淳・川本宗孝・豊田敦・勝間進・嶋田透・木内隆史
    • 学会等名
      令和3年度蚕糸・昆虫機能利用学術講演会 (日本蚕糸学会第90回大会)

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公開日: 2021-12-27  

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