研究課題
<クワコにおけるゲノム編集技術の確立について>これまでに得られた成果をまとめて、論文として発表した。<行動活性を司る遺伝子の同定について>令和3年度に行ったQTL解析によって絞り込まれた領域内の遺伝子について、RNA-seqから得た発現情報と照合して、幼虫の移動量に関与する遺伝子の候補を一つ選定した。次に、本候補遺伝子のノックアウトを行ったが、幼虫の行動活性には影響が見られなかった。この結果に疑問を持ち、条件を変えて再解析を行なったところ、本遺伝子が、QTL領域に含まれないことが判明した。再解析の結果、最終的に、幼虫の移動距離に関係する6つのQTL領域を同定した。また、検出されたQTL以外のゲノム領域も幼虫の行動量に関係することから、これが非常に多くの遺伝子によって複雑に支配されている、ポリジェニックな形質であることを示した。一方、カイコの染色体をバックグラウンドに、特に強い関与が疑われたQTL領域が座上する染色体1対のみをクワコに置き換えた染色体置換系統 (コンソミック系統) が、正常型カイコより長距離を移動したことから、これらのQTL領域が確かに幼虫の移動距離と関連することを示した。以上の結果は、カイコとクワコの幼虫の移動距離の差異が、非常に多くの遺伝子に支配されている一方、少数の主動因子の関与を特に強く受けていることを示唆している。現在、ここまでの結果を論文として発表するべく、成果をまとめている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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