研究課題
植物ウイルス病の防除においては、植物に備わる抵抗性の利用が効果的である。しかし、現在利用できる抵抗性遺伝資源は限られている。そのため、ウイルスに対する感受性・抵抗性が生じるメカニズムを解明することは、新たな抵抗性品種を開発し、ウイルス防除を行うための基盤として重要である。真核生物のmRNAには多様な修飾が付加されることが知られる。RNA修飾はmRNAの細胞内局在や安定性、翻訳効率などに影響を与え、遺伝子発現制御に重要な役割を果たすことが近年明らかになりつつある。植物RNAウイルスはRNAをゲノムとすることから、RNA修飾によって直接制御される可能性が考えられる。本研究では、RNA修飾が植物RNAウイルスの感染において果たす役割を解明することを目的としている。昨年度までに、ウイルスRNAの濃縮法を検討し、様々な植物ウイルスのゲノムRNAに存在する修飾の同定を進めた。また、これと並行してウイルスタンパク質と相互作用する植物タンパク質の同定をおこなったところ、RNA修飾に関わる因子が見出された。この結果を踏まえて本年度は、植物において当該因子をノックダウンし、ウイルスの蓄積に与える影響を解析した。その結果、ウイルスの蓄積が抑制されたことから、当該因子はウイルスの増殖を助ける因子であると考えられた。これらの結果は、植物のRNA修飾機構がウイルス感染において果たす役割を理解するうえで足がかりとなる知見であると考えられた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Virology
巻: - ページ: -
10.1128/jvi.00221-23
Microbiology Resource Announcements
巻: 11 ページ: 1-3
10.1128/mra.00323-22