研究課題
元素の占有規則・不規則性は材料の性質に大きな影響を与える。したがって、占有規則・不規則性を定量的に解析することは重要である。本年度はトップクラスのイオン伝導度をもつ新たな六方ペロブスカイト関連酸化物Ba7Nb4MoO20.15H0.3に対し、共鳴X線回折(RXRD)と固体核磁気共鳴(NMR)を組み合わせた新たな手法RXRD/NMR法を用いることで、隠されたMoの規則占有を解明した。さらに第一原理計算を行うことで、この隠れていたMoの占有規則が高いイオン伝導度に関わっていることが判明した。この結果は今後さらなる革新的なイオン伝導体を探索するための指針、およびイオン伝導メカニズムを研究するための基礎になりうる。本研究で新たに作られたRXRD/NMR法は、通常使われるX線や中性子回折実験では隠れてしまう約270種の元素の占有規則・不規則性を解明できる。RXRD/NMR法は粉末・多結晶材料に幅広く適用できる汎用性が高い手法であり、占有規則・不規則性を解明するための新しい道を切り拓いたと言える。この成果は高く評価され、Nature Comm.に掲載された。また、Ba7Nb4MoO20のNbの一部をWに置換することで、プロトン伝導度を抑えて酸化物イオン伝導度を向上した物質Ba7Nb3.85W0.15MoO20.075を発見した。この新材料は化学的安定性も高い新材料であり、燃料電池などの応用につながる可能性がある。以上の成果より、六方ペロブスカイト関連構造をもつイオン伝導体を発見すること、およびその結晶構造とイオン伝導度の関係を明らかにすることができた。新たに作り出したRXRD/NMR法は材料科学へ資するところが大きい。したがって、当初の計画以上に進展していると言える。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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