本研究の目的は、日常生活における幅広い触感の再現である。触感再現技術は、接触する物体の材質や表面特性を人に対して提示する事により、バーチャルリアリティ(VR)や遠隔コミュニケーションの臨場感を高める上で重要である。しかし未だ紙やすりのような触感を提示することは困難である。この理由として、物体接触時の皮膚の振る舞いが明確になっていないことがあげられる。これより本研究では物体接触時、また錯覚などの触感が生起した際の皮膚挙動を直接観察することで高品位な触覚提示に必要な挙動を明らかにする。本年度は、前年度までに行った一次元凹凸の波長よりも細かな波長に対しての計測を実施した。結果、波長が0.8mm未満のテクスチャでは皮膚はその凹凸形状の形を写し取らなくなることが明らかになった。このことは、凹凸波長が大きな触感を再現する際には空間的な皮膚変形刺激が必要であることを示唆している。本結果は現在論文誌投稿を行うため準備を行っている。
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