研究課題
本研究では酸化ハフニウム系材料の1つであるSrHfO3の単結晶育成を行い、そのシンチレーション特性評価を行った。SrHfO3の密度は高く、実効原子番号も大きいためX・γ線検出用シンチレータとして有力な候補であるが、一方で融点が2700度程度と非常に高いため、これまで単結晶育成報告が無かった。通常の単結晶育成装置では最高温度2100度程度までしか上昇できないが、高出力のキセノンアークランプを4基搭載したフローティングゾーン法では最高温度3000度まで上昇可能であるため、高融点材料であるSrHfO3の単結晶育成が可能となった。初めに育成条件の確立のために無添加サンプルを作製した。その結果原料粉末として使用する炭酸ストロンチウムを化学量論組成から20%増加させることで安定して単結晶が得られることが判明した。これは炭酸ストロンチウムが高温で揮発するためであると考えられる。この育成条件の元で発光中心としてCeを0.3、1、3%添加したサンプルを作製した。いずれも黄色に着色はしたものの透明なサンプルが得られ、粉末X線回折 (XRD) の測定結果でも単相のSrHfO3が得られたことを確認した。Ce添加SrHfO3単結晶では410 nm付近にブロードなピークが観測され、その減衰時定数は15 ns程度であったため、これはCe3+の5d-4f遷移由来の発光であると考えられる。シンチレーション発光量を定量的に算出した結果では、3%Ce添加サンプルがおよそ360 photons/MeV程度の発光量を示した。これは既存のX・γ線検出用シンチレータの発光量よりも低い値ではあるものの、Ce添加SrHfO3単結晶の発光量を世界で初めて算出することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
SrHfO3単結晶の育成に成功し、その蛍光およびシンチレーション特性評価に成功したため。
BaHfO3はSrHfO3よりも密度が高く、更なる検出効率の増加が期待できる。しかしながら、単結晶育成が非常に困難であり、これまでに単結晶育成に成功した報告は無い。BaHfO3では原料粉末として使用する炭酸バリウムがBaHfO3の融点において非常に揮発すると予想される。そのため、30%から50%程度過剰に炭酸バリウムを供給することで単結晶育成を試みる。単結晶育成後はこれまでと同様に蛍光およびシンチレーション特性評価を行い、Ce以外の発光中心も添加し、材料探索を行う。
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