研究実績の概要 |
シミュレータを用いた物体認識のためのデータセット自動生成に取り組んだ.Sim2RealにおけるDomain Gapを埋めるために,フラクタル画像をテクスチャに用いる手法を提案した.現実データと合成データの性質を調べるために,多様性・類似度・複雑度・フラクタル次元を用いた.その結果,フラクタル画像をテクスチャに用いることで,現実データに近い性質を持つ合成データを生成することが可能であることを示した. 生成したデータはYOLOv7にて学習し,現実データと精度を比較した.提案手法による合成データは検出能力において非常に優れていることがわかった. 2週間かけて作成した現実データ6,000枚の精度を約1時間半で生成した10万枚の合成データの精度が約15ポイント上回っており,その有効性を確認した.また,フォトリアルスティックなシミュレータを用いた従来手法と比較しても2ポイント高い結果を示した.本手法は,幾何学的複雑性を持つフラクタル画像がSim2RealにおけるDomain Gapを最小化するために有効であることを示した. また,これらの結果を用いて,家庭用サービスロボットへの応用を行った.具体的には,主要タスクであるPick-and-Placeのための物体認識および環境認識を行うためのデータセット生成に用いた.特に物体認識では,RoboCupやWorld Robot Summitといった競技会において高い認識精度を示し,数々の競技会優勝に貢献した.また,本手法は特許申請中である.
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