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2020 年度 実績報告書

サバンナ霊長類の遊動のダイナミクスと群間交渉によって維持される群内の協力性

研究課題

研究課題/領域番号 20J23285
研究機関京都大学

研究代表者

半沢 真帆  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワードGPS / 群間関係
研究実績の概要

令和2年当初から始まった新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、ガーナ渡航が困難な状況にあったため、当初の研究計画とは大幅に異なる研究スケジュールとならざるを得なかった。そのような状況のなかで、国内で進められる研究として、当研究計画の一つであるGPSデータを用いた研究に関連する分析を行った。その分析では、修士課程において屋久島の隣接する2つのニホンザルの群れから収集したGPSデータを用いて、隣接群と接近した際の群れの行動変化について検討した。その結果、視覚的には相手の群れが見えていない状況であっても、群れ間の距離が短くなるにつれ、群内の威嚇や悲鳴といった音声や、オスの示威行動の頻度が多くなることが分かり、視覚以外の方法で相手の群れの存在を察知している可能性が示唆された。また、さらに接近し、ある距離以下で他群と近接した状態になると、前述した行動のうち特にオスの示威行動の頻度が低くなり、群内が静かになる傾向が見られた。これらの分析を進めるなかで、GPSデータの扱いや、観察者の目視では分からなかった群間関係の実態について新たな知識や知見を得ることができた。また、分析手法において、新たな改善点も見つかったので、ガーナで調査する際には調査方法を改善し、より詳細な調査と分析が実施できることが期待される。
また、本課題とは直接関係しない課題ではあるが、国内学術雑誌に修士課程の研究について論文を1本掲載した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2020年度の研究計画としては、ガーナ・モレ国立公園でのパタスモンキーの群間関係の調査をするため、調査許可を取得の上年度半ばからガーナへ渡航し、野生のパタスモンキーの群間関係に関するフィールド調査をする予定であった。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の結果、外務省感染症危険情報レベルに準じた京都大学のガイドラインによるガーナ渡航禁止が年度末まで解除されず、調査地に渡航することができなかったため。

今後の研究の推進方策

京都大学のガイドラインによる渡航規制が緩和されるまでの期間では、渡航が可能になった際に円滑に調査を始められるよう、現地の医療体制や緊急時の対応などについて情報収集し、研究計画の変更や研究方法の改良、調査用具の準備などの渡航準備を進める。また、調査国のカウンターパートや当該国立公園関係者とは定期的に連絡を取り、お互いの国の感染状況や調査再開の見通しについて情報交換を行う。
また、国内で進められる代替的な研究を行う予定である。具体的には、修士課程から調査を続けている屋久島のニホンザルを対象に、群れのまとまりの維持や、遊動時の目的地の決定に関わる要因について群間の比較調査を行う。この研究テーマは、後に渡航が可能となり、ガーナでパタスモンキーの調査を始めた際にも、複数群の調査が困難であった場合の代替案として、ニホンザルと比較して検討することが可能である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 屋久島の野生ニホンザルで観察されたオス間の尻つけ行動の初記載2020

    • 著者名/発表者名
      半沢真帆
    • 雑誌名

      霊長類研究

      巻: 36 ページ: 33~39

    • DOI

      10.2354/psj.36.015

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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