本年度は、昨年度までの天体解析を継続して行い、バックグラウンドの不定性の評価やモデル計算の妥当性の評価を行った。これらの成果は投稿論文として出版済みである。また、新たに同天体の別領域の解析を 行った。同一天体ではあるが、SS 433 の西側と東側の領域でそれぞれ、シンクロトロン放射のスペクトルの時間発展の描像が異なることを発見し、得られた結果よりその理由の考察を行った。 これらの一連の結果は私の博士学位論文としてまとめてあり、また本結果は来年度以降、学術論文として投稿予定である。 また、次世代X線天文衛星搭載に向けたX線検出器開発も行った。本年度は主に、ペデスタルの見積もり方法に着目した。解析方法の検討・検証を行った結果、エネルギー分解能の向上の余地があることを発見した。 その新たな解析手法を実装した解析スクリプトを作成し、実際に同じ検出器で過去最高の性能を実現した。今年度得られた結果は、本検出器の解析方法を向上させる上で重要な結果であり、今後はさらなる検証・改良を行い、解析方法の確立を目指す。
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