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2020 年度 実績報告書

脳深部神経回路の高時空間分解能観察デバイスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20J23439
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

杉江 謙治  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワードCMOSイメージセンサ / 神経アンプ / 生体埋植デバイス / 脳機能計測 / 蛍光観察 / 細胞外記録
研究実績の概要

1チップでマウス等実験動物脳内の神経活動を光学的および電気生理学的に計測可能な生体埋植デバイスの開発にあたり,試作した神経アンプ搭載生体埋植CMOSイメージセンサの基本機能の検証を行った.
イメージング機能の検証には緑色蛍光タンパク質を発現した神経細胞と同程度の蛍光波長をもつ直径15 μmの蛍光ビーズを観察対象に使用した.励起光と分離して蛍光観察を行なうため吸収フィルタをセンサ上に実装し撮像実験を行うことで,イメージングエリアに存在する複数の蛍光ビーズを観察できることを確認した.この結果より,試作したセンサのイメージングによる神経細胞の蛍光観察可能性が期待される.
細胞外記録により局所場電位と活動電位が計測可能であり,計測するためにはDC成分を除いた超低周波数から10 kHz未満の周波数帯域で数百μVから数mVの微弱な電位信号を増幅する必要がある.微弱な神経活動の電位変化を増幅するため試作センサに搭載した神経アンプは40 mHzから3 kHzの周波数帯域で39 dBの増幅率を達成していることを確認した.麻酔下ラットを用いたタングステン電極からの細胞外記録実験では活動電位と思われる波形が得られた.なお,動物実験は本学の動物実験に関する規定に準拠して行われた.
イメージセンサと神経アンプを同時に駆動させることでイメージセンサに入力するクロック信号に伴うノイズが神経アンプ出力に生じる.このノイズの成分は140 kHzを振幅のピークとしてもち,10 kHzより高い周波数帯域に存在している.目的の神経活動帯域は10 kHz未満であるので,神経アンプ後段へのフィルタ搭載やデータ処理によるクロックノイズ低減の見通しを得た.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までの研究では,試作した神経アンプ搭載生体埋植CMOSイメージセンサの基本機能を検証した.吸収フィルタを搭載することで蛍光を選択的に検出し,神経細胞が活動する帯域で微弱な電気信号を増幅可能であることを確認した.また,イメージセンサと神経アンプの同時駆動におけるノイズの影響に関しても低減可能な見通しを得ることができた.本研究成果により,今後マウスに適用してマルチモーダルセンシングを行うための足掛かりができており,おおむね順調に進展していると言える.

今後の研究の推進方策

細胞外記録のための電極作製を進めていく.センサ刺入時に観察部位へのダメージを低減するために,蒸着装置やスパッタ装置等を用いてセンサ面に対してフラットな電極の作製を進めていく.また,自由行動下マウスの生体埋植実験に向けて,試作したデバイスでイメージングおよび細胞外記録によるマルチモーダルセンシングを行うための最適な回路構成や実装手法に関しても検討を進めていく.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 電気生理学的計測機能を搭載した生体埋植イメージセンサの試作2021

    • 著者名/発表者名
      杉江謙治,笹川清隆,竹原浩成,春田牧人,田代洋行,太田淳
    • 学会等名
      第68回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] Image refocusing of miniature CMOS image sensor with angle-selective pixels2020

    • 著者名/発表者名
      Kenji Sugie, Kiyotaka Sasagawa, Mark Guinto, Makito Haruta, Takashi Tokuda, and Jun Ohta
    • 学会等名
      2020 OSA Biophotonics Congress: Biomedical Optics
    • 国際学会
  • [学会発表] 神経アンプ搭載生体埋植CMOSイメージセンサ2020

    • 著者名/発表者名
      杉江謙治
    • 学会等名
      d.lab-VDECデザイナーズフォーラム 2020

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公開日: 2021-12-27  

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