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2021 年度 実績報告書

活動量から眠気を生成するモデルによる睡眠制御状態の追跡とライフスタイル個別最適化

研究課題

研究課題/領域番号 20J23525
研究機関東北大学

研究代表者

天野 領太  東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワードシナプス可塑性 / 数理モデル / 海馬 / 睡眠 / 概日リズム
研究実績の概要

申請者は現在、精神疾患と睡眠覚醒制御系の接点として、シナプス可塑性の制御に着目して研究を進めている。シナプス可塑性に関連する分子のいくつかには概日リズムが存在し、睡眠覚醒状態に依存して活性の程度が変化することが知られている。シナプス可塑性の制御がこのような睡眠覚醒サイクルと概日リズムの相互作用下にあることは、ライフスタイルという行動学的レベルでの現象が神経伝達制御の根幹にあるシナプス可塑性の変調を介して、あらゆる脳活動に影響を及ぼすことを示唆しいる。実際に多くの行動学的実験は、概日リズムや睡眠覚醒サイクルと記憶・認知機能の関連性を強く示している。
R3年度、申請者は、海馬錐体細胞の局所的な樹状突起コンパートメントにおけるNMDA受容体依存的なシナプス可塑性の数理モデルを構築し、シナプス可塑性に関連するいくつかの分子ダイナミクス単純化してシミュレートすることで、複数シナプスへの刺激の時系列構造がシナプス間の協調的・競合的な相互作用を介して、どのようにシナプス可塑性という物理的な変化に埋め込まれるのかを解析した。シミュレーションの結果、シナプスは刺激タイミングの疎密や競合するシナプスの数に応じて協調性と競合性のバランスを変化させ、情報の統合方法を選択していることが示唆された。具体的には、複数のシナプスに近いタイミングで刺激が印加された場合、刺激が印加されたシナプスの数に応じて全てのシナプスが中庸に増強される場合と、増強されない場合が存在した。このように、生起タイミングと情報の数に応じて統合するべき情報が取捨選択されることで、効率的に情報を統合できる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

R3年度は海馬錐体細胞の樹状突起コンパートメントにおけるNMDA受容体依存的なシナプス可塑性の基本的な数理モデルの構築を目標としていた。さらに、概日リズムとシナプス可塑性の関連性を議論するための準備として、概日リズムを呈するいくつかの可塑性関連分子の動態をモデルに組み込むことで、R4年度に構築する拡張モデルへの方向性を示す必要性があった。
実際、R3年度に構築したモデルは上記の目標を達成しており、R4年度に予定していたモデルの拡張にも部分的に着手することが出来た。よって、おおむね順調であると判断される。

今後の研究の推進方策

R4年度は、R3年度に構築したモデルを空間的に拡張し、可塑性時における樹状突起スパインおよびスパインネックのリモデリングを組み込むことで、シナプスへの刺激によって駆動される可塑性シグナルの時空間ダイナミクスを再現する。これにより、より広範囲の樹状突起におけるシナプスの空間分布や、長期増強に伴うタンパク合成装置の再分布が情報の埋め込みにどのように影響するのかを解析する。さらに、細胞体を接続したBall and Stick Modelを用いて、細胞体における概日リズム依存的な分子の活性制御と局所樹状突起コンパートメントでの睡眠覚醒状態依存的なリン酸化の相互作用をシミュレートし、行動学的な現象と分子レベルの現象を結び付ける多階層的なモデルを構築する。
このような多階層的なモデルは、ライフスタイルが脳機能のパフォーマンスに与える影響を理解する上で探的に利用でき、俯瞰的な視点から有用な洞察を与えることが期待される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Modeling of signaling mechanisms underlying cooperative and competitive formation of synaptic plasticity2021

    • 著者名/発表者名
      Ryota Amano
    • 学会等名
      NEUROSCIENCE2021
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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